《1256》 死ぬまで診療したい医師 [未分類]

先日、ある老医の在宅医療を依頼されました。
大正生まれのその医師は、がんを患っています。
老化とがんでガリガリにやせ細っていました。

歩行はフラフラ。
バタンと倒れてしまいそうな歩き方でした。
すでに朝と夕にヘルパーが入っていました。

しかし、なんとある場所でまだ診療をしています。
頭のほうは全然、ボケていないのです。
医学の話になれば、キラッと目が光ます。

その医師は、もはや90歳近い。
しかしまだ立派な現役です。
在宅医療を受けながら、“出勤”するといいます。

主治医からは、余命3カ月と宣告されていると……
私が見てもそう思いました。
しかし死ぬまで好きな仕事が続けられるので本望か。

日野原先生を見ていても分かるように
医師に定年は無いことが多い。
公立病院などではありますが、それ以外は定年が無い。

一般企業と同じように定年を迎えても必ず
次の勤務先を見つけてきて診療をしています。
元気なのに完全に引退する医師はあまりいません。

ただ、週に2、3回だったりはします。
「ボケ防止」と言われると、患者さんは怒るかな。
しかし医師と患者が一緒に年を取るのは悪いことではない。

「死ぬまで診療したい」という医師を何人か見てきました。
死ぬ前日、当日まで診療していた医師がたしかにいました。
医師という職業には、やはり定年がありません。