《1257》 病院という名の医師はいない [未分類]

先日、このようなことを言う患者さんがいました。
「私はA病院がかかりつけ医です」と。
なるほどと言いながら、少し止まってしまいました。

病院がかかりつけ医?
病院という人間はいないのだけど……
それを言うなら、A病院がかかりつけ病院では?

こんな屁理屈が心に浮かびました。

病院とは、医師や看護師や機器の集合体です。
そのひとつひとつは、1人の人間。
要は、沢山の人がいるのが病院なのです。

病院に行けば、必ず誰かがいます。
たいていは誰かが助けてくれます。
その安心感は絶大なるものがあります。

大学病院には、大学病院教の患者さんがいます。
その大学病院に診てもらえるなら死んでもいいと。
まるで大学病院という人間がいるような言い方をします。

2年目の研修医が大学病院にいても研修医ですが、
地域の診療所に出れば、医大の大先生になります。
ところが変われば、医師の待遇がガラっと違います。

患者さんや家族はよくこう言います。
「もっと大きな病院に連れて行こう」
大きな、とは大勢のスタッフがいるという意味です。

大勢いることが、安心なのです。
安心を与えることが医療の目的です。
そのためには大きいほど安心が深くなる場合が多い。

考えてみれば開業医は、通常は人間が一人です。
いわば最小単位で頑張っているのが開業医です。
どちらにもそれ以下の単位はありません。