「私、不整脈なんです」と、不安顔で相談に来られたら、
「心配要りませんよ。僕も不整脈ですからね」と、
とりあえず不安を軽減しながら、必要ならば心電図などの検査を行います。
不整脈にも、「良性」と「悪性」があります。
良性は放置してもよいもの。
悪性とは、命に関わる可能性があるため、治療を要する不整脈です。
実際、大半は良性です。
「赤ちゃんでも誰でも、1発ぐらいの不整脈はあるのですよ」
「1日に10万回も打つのに、簡単な打ち間違いはあるのですよ」と説明します。
自覚症状のあるなしも、とても大事なことです。
自覚症状があれば治療対象になり、なければ、対象にならないと、大まかに
言ってもよいでしょう。
不整脈をこのように考えました。
○脈が速過ぎたり、遅過ぎたりするか
○脈がどう乱れるのか、乱れる頻度はどの程度か
○期外収縮の起源が、心臓の上(心房)か、下(心室)なのか。
昔、不整脈に対して安易にお薬を使い過ぎた時期がありました。
皮肉にも、不整脈のお薬が、不整脈を誘発したこともありました。
現在では、ある限られた場合のみ、お薬を使うようになりました。
普段、町医者として遭遇することが多い不整脈は、
一時的に心拍数が2倍(70回なら140回)になる、
一時的に心房細動になる、
心室性期外収縮が頻発する、などです。
その場で応急処置の頓服薬を飲ませたり、点滴をすることも。
不整脈のお薬が必要な場合やカテーテル治療の対象かな?
と考える時は、専門病院に紹介状を書きます。
そういえば先週も、ペースメーカーを入れた患者さんがいました。
ペースメーカーが必要だと判断したら救急搬送することもあります。
ひとくちに不整脈と言っても、内容はピンキリです。
精密検査として、まず心臓エコーを行います。
また、24時間心電図や負荷心電図も行いたい検査です。
医療費が高い検査なので、患者さんの同意を得てから行います。
先日、若い女性が、動悸と不整脈を訴えて来院しました。
エコーをすると、心臓の中に巨大な腫瘍が見つかり仰天しました。
どんな不整脈かももちろん大切ですが、このように、不整脈の裏に
潜む原因を調べることも大切です。
不整脈は、実に様々。
多くの放置しても構わない不整脈の中から、治療対象となる不整脈を
効率よく見つけ出すことが、町医者の仕事と言えるのでしょう。