昨日は、消化器病に関連した6つの学会が
一度に開催されるDDW(消化器病週間)に出席しました。
極めて大きな医学会です。
品川駅周辺のホテルをいくつか使っての医学会。
1万人規模のお医者さんが来られていました。
昨日お腹が痛くなった人たちは大変だったかも。
品川駅周囲を歩いている人全員がお医者さんです。
学会参加のネームプレートを首から下げています。
いわば、胃ろうや胃がんの専門家たちばかりです。
一昨日は、中村仁一先生の、胃ろうは造らない、
がんは治療しないという話を聞いたばかりです。
もちろん年齢によって異なりますが、極論です。
わずか2日間の間に、胃ろうに反対している1人の
ベストセラー医師と、1万人の専門医の両方に会いました。
同じ医者でもここまで違うのかと思いながら歩きました。
そんな中。藤田保健衛生大学の東口高志教授による
「食べて治す、食べて癒す」という講演を聞きました。
東口先生は日本静脈経腸栄養学会の理事長です。
栄養剤の投与ルートとして、経口>経胃>経腸>経静脈
(末梢静脈、中心静脈)の順番で優れていることは
国際的なコンセンサスを得ています。
彼は在宅医療を含めて「街が病院になる」と話され、
「食べるための胃ろう」という思想を説かれました。
唾液分泌の促進や筋肉量の維持について触れました。
食べることを中心に考えると胃ろうは優れた栄養法であり、
早期の造設と嚥下訓練は、再び食べるためのものであると。
藤田保健衛生大学では、積極的に取り組んでおられます。
また、栄養剤のゲル化を早期に行うと
注入にかかる時間が短縮できて、
リハビリテ―ションに早く入れるとも。
また口にするとさっと液状になる食事を開発されました。
見た目は普通の食品ですが、嚥下が楽になります。
食品、栄養剤に関して様々な試みを紹介されました。
のみ込んだ時の安全性が高く、
たくさん食べることができます。
がん患者さんも最期まで食べられます。
食べることには恐ろしい力があることを
ビデオを見せながら力説されました。
再び食べるための胃ろう、であると。
これは私も同感。
「胃ろうという選択、しない選択」は私の著書名。
帯には、ハッピーな胃ろう、アンハッピーな胃ろう、
自然に任せる、という3つの道を説きました。
患者さんには本などでいろいろ勉強して、
後悔のない選択をしてほしいと思います。
患者さんや家族が正解を探すのが、胃ろうです。