《1273》 台湾の尊厳死事情 [未分類]

台湾では、尊厳死法案が制定、施行されているという現実は
日本ではなぜかあまり知られていません。
その功労者である趙可式教授が来日されています。

ご縁あって、彼女と食事をしながらどのような経緯で
そのような法律ができたのかをゆっくりお聞きしました。
その前に、日本尊厳死協会を表敬訪問もしていただきました。

趙教授は、台南市にある国立成功大學院の教授です。
アメリカやイギリスに留学されて、緩和ケアや
終末期医療を学ばれた優しい看護師さんです。

台湾ではかつて終末期の患者さんは全員、心臓マッサージ
と人工呼吸器を装着することが義務づけられていました。
医師は形式的にでもそうしないと訴えられるという文化でした。

趙教授は、種々のアンケート調査を行い、それは患者さんの
尊厳を損ねていると確信し、それをしなくてもいい法律を
作ることに取り組みました。

もちろん当初は、医師も全員反対したそうです。

台湾では100%の議員が賛成しないと法律が成立しません。
与党が賛成しても野党が反対するのは、どこの国も同じです。
最初はまったく相手にされなかったそうです。

しかし現場の看護師さんの説得はとても力があったようです。
終末期の悲惨な映画や写真、特に17本も管が入れられて
亡くなった人の映像を実際に見てもらったそうです。

国会議員を一人ひとり、6年間かけて粘り強く回り、
尊厳死の法制化を訴えた結果、法律ができました。
それが「安寧緩和醫療條例」という名前の法律です。

この法律のお陰で、台湾では終末期の患者さんが管だらけに
なることが無くなりました。
そして彼女は台湾では知らない人がいない有名人になりました。

そんなとても偉大な方ですが、一緒に食事をしていると
とてもシャイでおしとやかな女性でした。
とても楽しい一夜になりました。