《1276》 徳田虎雄氏に会いたい [未分類]

徳田虎雄氏が、徳州会の理事長辞任を表明しました。
あんなことをしたのだから当然のことでしょう。
当局は公正に取り調べ公正に裁いて欲しいです。

ただ、私の中の徳田虎雄氏はあれではありません。

今から31年前、私が24歳の時です。
東京医科歯科大学の学園祭で彼は野外ステージで
医学生たちに講演をしていました。

医療に金持ちも貧乏もない!
無医村を無くすんだ!
平等な医療を実現するんだ!

「俺の言っていることは間違っているか?
間違っていると思う奴がいたら束になってかかってこい。
今、ここで相手をしてやる!」

当時、44歳のオッサンにそんな因縁をつけられて
かかっていった医学生は一人もいませんでした。
完全に浮いていました。

しかし私は浮いた彼の後ろ姿を最後まで眺めていました。

「こんな奴がいるんだ。
 どうも本気のようだ。
 でも誰もついていかないわな」

彼は有言実行。
離島に病院を建てました。
あちこちに自らの理念を具現化する病院を建てました。

そしていつしか政治と関わりました。
その時からおかしいと思っていました。
いつかこうなるだろうなと、うすうす感じていました。

彼はやりすぎました。
道を外しました。
しかし最初の理念は間違っていませんでした。

31年前の彼の言葉は今も耳に残っています。
たしか日曜日の綺麗な夕暮れ時でした。
彼は確かに活き活きと医療を語っていました。

ALSになってからの徳田氏を見るのはテレビの
ニュースでのみ。
レッツチャットのようなもので意思疎通はできます。

理事長を辞した彼に聞きたいことが沢山あります。

  • 病院を沢山造って意味があったのか?
  • それは当初の理念と違わないことなのか?
  • もう一度やり直せるなら、どんな医療を目指すのか?

私が彼に会えるチャンスは今後あるかもしれません。
こんな文章を書いたら、無くなるのかもしれません。
それは自然の成り行きに任せたいと思います。

ただ、ひとつの時代が終わったことは確か。
彼は医療から引退しました。
ただ私の中には、31年前の彼が生き続けています。