《1285》 認知症の人にリビングウイルを聞いてみた [未分類]

今週は、認知症の人にリビングウイル(LW)について
20人くらいに聞いて回りました。
ある程度の会話ができる認知症の人が対象です。

LWとは、終末期になった時の延命治療への希望です。
「将来もし口から食べられなくなった時、どうする?
点滴する?鼻や胃から管を入れてそこから栄養する?」

実にいろんな反応がありました。

そんなもの絶対にイヤと即答された人が3人。
会話は可能でも、質問の意味が分からない人。
全員がNO、かと思いきや、違っていました。

「そやな、それ、してくれ」と即答した人がいました。
しかし家族は、「この人は、延命治療だけはやめてくれ、
が口癖だったので、質問の意味が分かっていないわ」と。

結構、多かったのは
「そんなことは、その時にならんと分からん」でした。
今は考えたくないという返事。

「今、聞かれても分からん。
先生にお任せするわ、も多かった。
いかにも日本人的です。

認知症の人は取り繕いをするので、質問の意味を理解せず
とりあえずの返事をする場合があります。
それが認知症の人との会話の特徴です。

「そうする?」と聞けば「そうやね」と答えるのに、
「そうしない?」と聞いても「そうやね」と答える人。
答えるから意思表示ができているとは限らないのです。

ただ嫌な質問であると感じている人が多いようでした。
なんでそんなことを聞くのや、と怒った人もいました。
長く診ている人でも、反応は意外なものが多かった。

元気なうちから家族と終末期のことを考えておきましょう。
普段講演などでそう言っていますので、実行してみました。
そして認知症とLWについて考えるいい機会になりました。

認知症の人の自己決定能力をどのように評価するのかは
とても難しいなとあらためて思いました。
一度決めても、話しているうちに変わる人もいましたし。

結局、モヤモヤした想いのまま調査は終わりました。
自分の頭の中でも、まだまとめきれていません。
しかし明らかに自己決定できるという人も何人かいました。

これらの映像は、11月23日午後に東京で開催される
第二回日本リビングウイル研究会の冒頭で紹介する予定です。
「認知症とLW」というシンポジウムの司会をしています。