《0129》 心房細動の放置で脳梗塞に? [未分類]

心房細動という名前の不整脈があります。
脈が全く不規則に打つタイプの不整脈です。

手首の脈を触れることから、診断が始まります。
心臓弁膜症のないものと、あるものに分かれます。
高血圧があると心房細動になりやすいことが分かっています。

そんな心房細動の比率は、年齢とともに増えます。
80歳以上の方なら約1割が心房細動といった感じでしょうか。
人生80年の時代には、ありふれた病気と言えるでしょう。

不整脈を自覚する人と、自覚しない人がいます。
正確に言うと、時々、心房細動になる人(一過性)と、
ずっと心房細動で固定している人(持続性、慢性)があります。
しっかり固まってしまえば、ほとんど自覚症状がありません。

問題なのは、心房細動になると、心臓の中(左房)に血栓が出来て
脳に飛んで行き、脳梗塞を起こす(脳塞栓と言います)ことです。

心房細動は年間数%の割合で、脳塞栓症を起こすことが分かっています。
つまり心房細動は、一般の方より数倍も、脳梗塞を起こしやすいのです。

しかし、ちゃんと予防するお薬があります。
ワーファリンという、血液を固まりにくくするお薬です。
これを飲んでおけば、脳梗塞の確率はうんと減ります。

ただし、ワーファリンの働きを弱める食物にはちょと注意が要ります。
納豆やクロレラなどが制限されるのは、もはや有名になりました。

血液検査で、プロトロンビン時間(PT)というものを測ります。
高齢者ならPTが、1・5~2・0、若い人なら2・0~2・5(INR)に
収まるように、服用するワーファリンの量を調節していきます。

高齢化に伴い、ワーファリンを飲む日本人が増えてきました。
専門病院から、地域の開業医にワーファリンの管理を依頼される機会も
ずいぶん増え、毎週のように紹介状が往復しています。

心房細動そのものの治療としては、薬物療法に加えて、
カテーテル・アブレーションという方法も普及してきました。
若い人やまだ固まっていない人は必ず専門病院に紹介します。

町医者にとって、心房細動の診断やワーファリンの管理が、
ますます重要になってきたと感じます。
この病気も、専門病院との連携が極めて大切です。
心房細動の方は、ぜひ、身近なかかりつけ医も持ってください。