《1297》 モノが捨てられないのは病気か [未分類]

先日、ある往診を頼まれました。
行くと、そこはゴミ屋敷でした。
住んでいる人はそうは思ってはいませんが。

家に上がることができません。
足を置くスペースが無いからです。
様々なものが地層のように重なっています。

ここまでなるのに何十年もかかっているはず。
昭和の日付けの新聞紙が一番上だったりします。
視覚だけではなく、嗅覚にも強烈な印象があります。

実はこのような壮絶体験を、年に1~2度くらいします。
ということは、これまで30~40回くらい体験してきた。
まあ、本当に大変なのは介護士や看護師さんなのですが。

さて、なぜこんなにまでなってしまったのか?
なぜ、それをなんとかしようと思わないのか?
最近、ゴミ屋敷に至る心情を想像しています。

ゴミ屋敷の住人は、モノを捨てることができません。
何故、捨てられないのか?
それは、「不安」が強いからではないのか?

不安だから、とりあえず取っておこう。
その結果、あのような状態になる。
それは、一種の病気ではないか。

実際、ゴミ屋敷には認知症の方が多いです。
不安で捨てられなくて、他人を信じることができず、
ものすごく頑固な性格になる。

最近、私自身もモノが捨てられなくて、
仕事もプライベートもゴミ屋敷の前状態のようなことに。
ということは・・・・

昨夜、島根県のある高齢者の寝室に泊らせて頂きました。
たまたまその方が出張中で、その部屋が空いていたからです。
まったく偶然の出来事。

その方は、超多忙でいらっしゃり、社会的に大活躍中です。
お弟子さんたちが沢山おられてもの凄く尊敬されています。
芸術の才能にも溢れ書や絵画をたくさん書かれている様子。

しかしその方のお部屋は、実に簡素で質素でした。
無駄なものは何もない。
必要なものだけある。

見事なくらい、スッキリした暮らしぶりでした。
その方とは一度もお会いしたこともないのですが、
どのような方なのか、よく分かった気がしました。

認知症とは不安。
不安はゴミ屋敷を呼ぶ。
だから、モノが捨てられなくなったら要注意

昨夜は、同世代の知人のお通夜でした。
自分自身も人生の後半戦にあることを改めて感じました。
これからは毎日、モノを捨てていかなくては、と思いました。