《1302》 目が見えない世界 [未分類]

一昨日は、日本障害者芸術団の設立式の打ち上げで
生まれつきの視覚障害がある歌手たちと
夜遅くまで飲んでいました。

視覚障害者とこんなに長い時間、
酒を飲んで話すことは生まれて初めてです。
話しているうちに自分も目が見えないような気に。

つまり、ラジオの世界に入って行くのです。
そこにあるのは音声だけ。
言葉の中味、トーン、口調だけで意思疎通をします。

そこに横にいる健常者が話しかけてくるとややこしい。
ラジオが急にテレビに変わるような感覚です。
脳はラジオならラジオ、テレビならテレビと要求します。

途中から私も目をつむって話してみました。
すると、その人の声がよく聞こえるのです。
視覚と聴覚の情報が、聴覚に1本化されるのです。

遠くの人の声もよく聞こえてきます。
時には目からの情報が無いほうが脳には優しい。
だから、ラジオの時代なんだなとも思いました。

視覚障害者同志の結婚は、どこが決め手になるのか
もについても厚かましく聞き、答えに驚きました。
もちろんお互いの容姿ではありません。

口説き文句でも、ある行動でもありませんでした。
みなさん、何が決め手になると思いますか?
実は、その方は「匂い」で決めたそうす。

これには驚きました。
しかし、分かる気がします。
動物の本能かもしれません。

今後は、少しは匂いを気にしようかとも思いました。
患者さんの加齢臭には敏感な自分であっても
自分自身の加齢臭には鈍感なことに、気がつきました。

オペラ歌手とカラオケで演歌を歌いました。
盲導犬と何時間も一緒に遊びました。
本当に至福の時間を過ごしました。