《1305》 認知症の家族にネコがいい [未分類]

ある認知症の男性を在宅で診ています。
先日、最愛の奥さまを亡くされました。
それを追うように、大切なネコも昇天。

その男性はその後、すっかり元気が無くなってしました。
そこで子供さんたちは、新しいネコを買いに行きました。
生後3ケ月の可愛いネコちゃんが新しい家族になりました。

しかしその次の週に訪問すると、そのネコは消えていました。
近くの動物病院に入院したとのこと。
聞くと、回虫が見つかったそうです。

そういえば生後3ケ月の割には、小さなネコでした。
生後検診で回虫が見つかり、駆虫薬を飲まされたが
治りきっていなかったそうです。

今回、飼い始めの検診に行った動物病院で、偶然
ウンチをして、それを顕微鏡で診たらまだ回虫の卵が
見つかり、それで入院になったそうです。

購入後2週間以内なら、クーリングオフ(?)ではないが、
無料で新しいネコと交換してくれる契約書だそうです。
その日が、丁度購入2週間目でした。

交換するか、回虫がいてもそのまま飼い続けるか
家族は少し迷っておられました。
そこで認知症の父親に聞かれました。

お父さんの答えは、「そのネコでいい」でした。
ご家族も「それでいい」と笑顔で同意。
近いうちに2回目の治療を終えたネコが戻って来る予定。

認知症の方に、動物を飼うことはとてもいい。
というか、動物が認知症を改善してくれます。

まだたった5日間しか飼っていないネコに情が移る。
多少の病気があっても許容して子供のように育てる。

そんな優しい家族の家に訪問診療に伺う幸せ。
一番癒されているのは、私なのです。