《1328》 ALS患者さんの在宅医療 [未分類]

昨日は、神経難病のの在宅医療と終末期ケアについて
芦屋市で講演をさせて頂きました。
芦屋市、伊丹市と地元での講演を続けてしました。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は神経難病の代表的疾患。
徳州会病院の徳田虎雄さんが闘病されている病気です。
全身の筋肉が萎縮し、呼吸や食事ができなくなります。

神経難病には、ALS以外にパーキンソン病、脊髄小脳変性症、
多系統委縮症、ミトコンドリア脳筋症、クロイツフェルト・
ヤコブ病など、たくさんの病気があり現在それぞれを診ています。

人工呼吸器や胃ろうにという選択を迫られることがあります。
その場合の人工呼吸器や胃ろうは、延命治療ではありません。
車椅子と同様、福祉用具なのですが拒否される方もおられます。

当院でも数えてみると過去に神経難病を数十人診て、
現在も十数人の神経難病の方の在宅医療を担当しています。
胃ろうと人工呼吸器が付いたALSの方は、3人診ています。

普段、神経難病を特に区別せず診ています。
がんも認知症も脳梗塞も神経難病も、自分の頭の中では
特別意識せずに、普通に、同等に在宅医療を行っています。

気管切開をすると、痰の吸引が必要になってきます。
しかし資格を持ったヘルパーさんしか痰の吸引ができない。
現在、急ピッチで痰の吸引の研修会が開かれているようです。

ALSの患者さんの在宅療養は、看護や介護が大変です。
2カ所のステーションから訪問看護が入ることもあります。
ホームヘルパーさんと医療の連携も大切です。

ALSの方は、人工呼吸器や胃ろうを付けたらいつまでも
生きれるかと言えば、もちろん、そんなことはありません。
必ずいつか終末期が訪れますが、そこからが延命治療です。

その時(意識が無くなったときなど)は、延命治療を
中止して欲しいと文章で表明した人もおられます。
そのような希望を「リビングウイル(LW)」といいます。

胃ろうや人工呼吸器を付けずに旅立たれる方も、おられます。
ALSの方が、人工呼吸器を付ける割合は日本では2~3割。
昨日講演した芦屋市では1割、当院では5割程度です。

私は、ALSの方には結構強く人工呼吸器や胃ろうを勧めます。
それらは、延命処置ではなく福祉用具であることを説明します。
拒否される場合は、地上げ屋さんではないが朝晩説得します。

最初は拒否していた方も、いったん呼吸器を付けて慣れたら
それなりに楽しんで生活されていて、私たちも癒されます。
当院の宴会に来ていただき、一緒に楽しむこともあります。

実は、ALSの方でリビングウイルを表明され、終末期に
なったら尊厳死を希望している方は沢山おられます。
(社)日本尊厳死協会の会員さんの中にもおられます。

尊厳死というと、メディア的にはALS協会と尊厳死協会が
敵対関係のように書かれることが多いですが、実際は違います。
私自身、10人のALSの人と楽しく関わってきました。

ALS以外の神経難病の方にも関わっています。
また多くの障害者とも関わっています。
先日も、日本障害者現術団の設立に関わったばかりです。

難病の患者会からは、何度か平穏死の講演を頼まれました。
それらの活動は医師として当たり前だし、楽しいものです。
しかしメディアは、なぜか対立構図で描くのが大好きです。

旅立った患者さんのご家族さんとは、その後も付き合っています。
呼吸器を付けずに尊厳死された方、付けて生きて亡くなられた方、
それぞれおられますが、いろんな物語があり、持続しています。

私は神経難病も、がんも認知症も同じように
LWが尊重される世の中になって欲しいとお話ししました。
あくまで終末期の話です。

在宅でのALS患者さんは、人工呼吸器や胃ろうなどの
医療処置が沢山あって、かたときも気を抜けません。
そろそろ年末年始用の物品を用意していかないと。