「痩せ薬をください！」そう言って受診される人がいます。
「お医者なら、痩せ薬くらい、あるでしょう」と。

まず、防風通聖散という漢方薬が有名です。
漢方薬とはいえ、もちろん副作用の心配はあります。
これは１８種類の生薬の合剤です。

エキス剤という粉薬は、保険適応の安いお薬です。
元々は便秘のお薬です。
水太り体質で便秘気味の方に最適です。
内臓脂肪を燃焼させることが分かっています。

当院では、数えきれないくらいの患者さんに使ってきました。
統計を取って研究会で発表したことがあります。
３カ月で、２～３㎏痩せていました。

食事療法との併用ですから、この漢方薬単独でどれくらい痩せるのか、
そのデータは持ち合わせていません。
個人的な印象では１～２㎏で、効果はそう強いものではありません。

ナイシトールという名前で薬局でも売られています。
防風通聖散そのものですが、錠剤なので便利かもしれません。
経済的余裕のない方は、医療機関で１～２カ月処方がお勧めです。

副作用として、低カリウム血症や間質性肺炎などが知られています。
幸い、私は一例も経験していませんが、注意が喚起されています。
「漢方薬＝絶対安全」では決してない、ことは覚えておきましょう。

あと、サノレックス（一般名マジンドール）という、痩せ薬があります。
食欲抑制薬で、脳の食欲中枢に作用して痩せさせます。
私が研修医の時からありましたから、かなり古い薬です。

ただし、このお薬には厳しい制限がついています。
ＢＭＩが３５以上の人のみですから、大まかに言って１００㎏以上の
肥満者が対象です。
さらに３カ月以内という期間限定などの、厳しいシバリがついています。

残念ながら、現在の日本では、痩せ薬と言われれば公には、
この二つしかないと思います。