《1342》 テストステロン補充療法 [未分類]

「テストステロン(男性ホルモン)を測って欲しい」と
希望して来院される壮年男性が時々おられます。
テレビや雑誌でLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)
を知ったから、と言われます。

甲状腺ホルモンと同様に血液検査で簡単に分かります。
テストステロン値は、朝が高くて夜が低くなります。
LOH症候群を疑う方であれば、保険診療で測定できます。

しかし、無症状の人は健康診断と同じで、自費診療となります。
男性の健康状態を知るのにとても有用なので、
会社検診の項目に入れるべきだと主張されている医師もいます。

特に産業保健の場で注目されている「職場のうつ病」、
すなわちメンタルヘルス対策においても、注目されています。
抗うつ剤とテストステロンの併用が有用だという報告もあります。

産業医をしていますが、仕事の半分はメンタルヘルス対応です。
職場復帰に際し、テストステロンの値を参考にすべきだという
意見も出るくらい、議論は盛り上がりつつあります。

「性ホルモンの研究」でノーベル化学賞を受賞された
ブーテナント博士が、1944年の「アメリカ医師会雑誌」に
男性更年期障害に「テストステロンの投与が効果がある」と報告。

テストステロンのホルモン補充療法は、決して新しいものではなく、
70年もの歴史があるわりには、あまり知られていません。