《1344》 前立腺がんの恐怖 [未分類]

先日、同世代の親しい知人が前立腺がんになりました。
実は私のクリニックで行った血液検査が診断の発端でした。
彼の手術は成功しましたが、勃起障害が残りました。

前立腺という臓器の位置や働きはあまり知られていません。
前立腺は、その大きさも形も、“クルミ”によく似ています。
精子を造る精巣の手前で、門番のような役割をしています。

射精の時に精子に前立腺から分泌される前立腺液が
混じることで大事な精子を保護しています。
前立腺は、まさに、精子の守り神。

大切な精巣の前に立つ腺なので“前立腺”であると。
泌尿器科の専門医にそう聞かされ、妙に納得しました。
その前立腺にできるがんが日本の男性で最も増加しているがん。

1995年と2020年と比較したら約6倍に増加するとの予想も。
15年前は、前立腺がんといえば高齢者のがんという認識でしたが、
最近は、知人のような40~50歳台の前立腺がんが増えています。

ちなみに米国では男性の6人に1人が前立腺がんになり、
がんになる人の半数を占めています。
がんで亡くなる人の10人に1人が前立腺がん、と。

では、どうして日本において前立腺がんが増えているのか?
どうも脂肪の摂取量と大いに関係がありそうです。
となると、私自身も人ごとではありません。

日本人は戦後、食生活の欧米化に伴い、
脂肪(なかでも動物性脂肪)の摂取割合が
3倍以上に増加しました。

その結果、増えたのが前立腺がん、乳がん、膵臓がんなどの
生活習慣病系のがんであると言われています。

最近、炭水化物ダイエットが流行っていますが、
炭水化物を摂らないと確かによくやせて、
糖尿病は改善するのですが、
脂肪の過剰摂取によるがんが増えないかと密かに心配しています。

また、乳がんが“ピンクリボン運動”で注目されている割には、
前立腺がんの啓発はまだまだだ遅れていると感じます。

私自身も、前立腺のことをもっと知らなければいけないと
思う今日この頃です。
実はメンズヘルスと言いながら自分自身の関心事でもあるのです。

(続く)

《PS》
昨夜は、当院の大忘年会でした。
恥ずかしながら、3日連続の忘年会です。
もう若くはないので大人しくしています。