《1346》 がんはがんでも、タチの悪さが問題 [未分類]

前立腺がんを早期発見するためにはどうしたらいいのか。
といっても、前立腺がんは基本的に無症状です。
骨に転移して痛みが出てはじめて発見される場合も多い。

PSAを用いた前立腺がん検診については、賛否両論です。
PSA検診を行った場合、治療の必要のない前立腺がんが
沢山見つかってしまうという問題点が、指摘されています。

またPSA値がいわゆるグレーゾーンにある場合は、
定期的に検査を続けることになり、がんの不安が持続
するという悩ましい問題がどうしても生じます。

だからといって、PSA検査なんてやらないほうがいい、
ともなりません。
PSA検査の長所と短所をよく知った上で上手に使いたい。

PSAが高いからといって前立腺がんがあると
決まったわけではありません。
がん以外でもPSAが上がる場合はいくらでもあります。

やはり、前立腺がんの早期発見や治療効果の評価には
血液中のPSA測定は欠かせません。
当院(内科クリニック)でも時々、測定します。

PSAが高い場合は、泌尿器科の専門医に紹介します。
直腸診とMRI、そして前立腺の組織検査が行われます。

細い針で前立腺の10~16ケ所から
組織を採取して顕微鏡で調べます。

そしてグリソンスコアという指標を用いて、
5~10の5段階で評価がなされます。

5~6であればタチがいいがん、7~8だとやや悪いがん、
9~10の場合はタチの悪いがんで高い確率で遠隔転移
しますから、早急に治療が必要と判断されます。

高齢男性の剖検例で多くの前立腺がんが見つかる話は有名。
そのようながんは、それで命を失うことは無いので、
天寿がんとも呼ばれます。

大切なことは、がんの有無ではなくて、がんの悪性度です。
がんはがんでも、タチの悪さが問題。

悪性度の低い前立腺がんは
急いで治療をせず、経過観察をする場合があります。

反対にタチの悪い前立腺がんであれば治療を急ぎます。
親族(親、兄弟)に前立腺がんの人がいる場合は、
40歳代でPSA検査をしたほうがいいでしょう。

あるいは50歳の誕生日に一度、PSAを測ってみては。
PSAが1以下の方は、一生、前立腺がんになりにくい、
とも言われています。

一方、テストステロン値が低い人は、そうでない人より
タチの悪い前立腺がんになりやすいことが分かっています。
これらの情報をよく知ってPSAを測定するべきでしょう。

テストステロンとPSAを混同しないでください。
テストステロンは、男性ホルモンで
PSAは、前立腺がんの腫瘍マーカーです。

PS)

クリスマスイブですが、毎年恒例の中高齢男性だけを対象にした
講演会に呼ばれています。
「オッサンと平穏死」という話の前に、前立腺の話をしてきます。