《0135》 重い肥満には手術も [未分類]

高校の校医をしていますが、既に高度肥満の子供が少なからずいます。
まず、脳の病気やホルモンの病気との鑑別から始めます。
それらが否定されて、初めて単純性肥満と診断されます。

子供を病院に通わせること自体どこか申し訳なく思います。
管理栄養士による食事指導、
医師による運動指導、
カウンセラーによるカウンセリング、
そしてサノレックス投与。
まさに総力戦で、減量に挑みます。

やっとの思いで、120㎏から100㎏まで減量に成功しても、
ちょっとしたストレスで簡単にリバウンドしてしまいます。
そのうちに、糖尿病が出て、膝が悪くて歩けなくなったりします。

最後の手段として、胃袋を小さくする手術が研究されています。
「肥満外科」という新しい外科領域が日進月歩で研究されています。

当院でも、お世話になった患者さんがおられます。
胃を小さくするので確かにある程度、体重は減りますが、
食べたいという欲求は続くため、食べては吐くことをずっと繰り返しており、
精神的に不安定な状態が続いています。

胃がんで胃を全摘して痩せても、誰もが納得されます。
しかし、肥満で強制的に食べられなくすると、強烈なストレスがかかるものだと、
改めて知らされました。

「食欲」という、人間が持つ根源的な欲求は理屈を超えた凄まじい
パワーを発揮します。
物欲、金欲、性欲、権力欲、名誉欲……。

食事に関して言えば、食べないことを習慣にするのがいいのでは。
イスラム圏でのラマダンは優れた習慣だと思います。

消化器専門医としては、胃腸を時々休ませるのはとてもよい習慣だと思っています。
メタボ対策を本気で考えるなら、ラマダンのような国家習慣を考えてもいいのでは?
「元気な日本」には胃腸を時々休ませる習慣から、を提案したい。