《1361》 人間社会からイメージするがん [未分類]

今日は、がんを人間の世界にたとえてみます。
悪性度が低いがんとは、集落を形成するがん。
集団で行動するムラ意識の強い人たちです。

群れをなす不良と、一匹狼のような不良がいます。
同じ不良でもタチふるまいは両者でかなり違います。
一匹狼は、凶暴で時に殺傷事件を起こしたりします。

がんも、人間のムラや不良とまったく同じです。
いろんな性格の村人や不良グループがあります。
それぞれの集落やグループには個性があります。

それを、がんの悪性度、と呼びます。
細胞単位で見ると、分化度、とも言います。

分化している=タチがいい
あまり分化していない=タチが悪い

胃がんの場合は、
高分化型の胃がん
中分化型の胃がん
低分化型の胃がん(未分化型とも)、となります。

世の中はいい人と悪い人しかいないのでしょうか?
そんなことはありません。
もちろん極端な人はいますが大半はその間にいるはず。

高分化型胃がんは、平凡ながんといったほうが分かり易いかな。
しかし一生、平凡であったり大人しい人であるとは限りません。
なにかのきかっけで、急にとんでもないワルになったりします。

低分化型のがんと高分化型のがんをイメージできますか?
高分化とは横に拡がりやすいがんで、タチが比較的良い。
低分化とは縦方向に潜り易く、タチが悪いがん。

タチが悪い胃がんは、腹膜播種を起こしやすいだけでなく
遠く離れた他の臓器に血の流れに乗って辿りつこうとします。
それを遠隔転移と言います。

つまりタチの悪さとは縦に潜ろうとする性質と、遠くでも
悪さをしようとする性質の2つの方向性があります。
どちらも、困った方向性です。

繰り返しますがタチが良い、悪いの間には必ず中間があります。
中間より少しだけタチがいいがんと、
少しだけタチが悪いがんまで、細かく見るといろいろある。

人間の社会も地域地域によって気質が微妙に違います。
そして気質は時として突然、豹変することもあります。
このようにがんのタチは様々でグラデエーションなのです。

一生良い人間も一生悪い人間も、まずいません。
良い人でも魔が差すことはあれば、逆もあります。
現実は単純ではなく、多様性があり変動しています。

絶えず、分裂のたびに、がんのタチは揺れ動きながら
全体としてのがんのタチ、を形成しています。
一生、変わらないなんてことはありません。

人生いろいろですが、
がんもいろいろ、です。

さて胃がんに戻ります。

胃がんは1個の細胞から始まります。
1個が2個になり4個になり倍倍ゲームとして
正常細胞より早い速度で、増えていきます。

早期がんだから、大きさが小さいとは限りません。
横に拡がっただけで縦に潜っていなければ早期がん。
昨日書いたように直径10cmを超えても早期がん。

余談ですが、なぜ20cmはないのか?
まあ胃袋にも大きさがあるので、20cmや30cm
という早期がんは、さすがにあり得ないでしょう。

一般に横に拡がろうとしている性質のがんでもある程度
目的を達成したら、性格が豹変することがあります。
小金持ちになったら傲慢になる人と、どこか似ています。

いずれにせよ、胃がんは早期がんを経て進行がんになります。
必ず子供を経てから大人になるのと似ています。
いきなり大人になる人を見たことがありません。

胃がんも同じです。
早期がんの段階で発見して治療すれば9割、命が助かります。
進行がんになれば当然死亡率はそれよりずっと高くなります。