《1363》 食道がんを早期発見するには [未分類]

一夜明けてまだ、たかじんさんのショックの中にいます。
新聞やテレビを見るたびに、悲しみがこみ上げてきます。
なんで死んじゃったの?

今朝の某人気テレビ番組に、コメント出演しました。
というわけで、もう少し食道がんについて書きます。
一般の人には、あまり馴染みの薄い病気かもしれません。

食道がんになる人は、内視鏡専門医ならだいたい分かります。
タバコをたくさん吸ってお酒をたくさん飲む男性です。
お酒が強い人ではなく、ほどほどに飲める人が危ない。

日本人は、お酒に強い遺伝子の方は、そう多くないです。
でも高知県や鹿児島県の出身だと、ものすごく飲める人がいる。
毎日、ウイスキーのボトルを1本空けても全然平気。

ビールを20本飲んでも、酔っ払わはない人がいます。
そんな人の血液検査は、GOTもGPTもγGTPなどの
肝機能は見事に正常値です。

一方、日本人の大部分は、少量~中等量、飲める人です。
結構飲めるが酔払う方が、それです。
GOT、GPT,γGTPなどの肝機能が悪くなります。

そしてもうひとつ、注目してほしい指標があります。
MCVという計算上の値です。
赤血球の大きさで赤血球、白血球のあとに書いてあります。

このMCVが100を超えていると、私は、
「ふーん、この人は大酒飲みなんだ」なんて思います。
本人にはそんな失礼なことは、言いませんが。

真にお酒が飲める遺伝子の人は、いくら飲んでも上がりません。
中途半端に飲める人が、γGTPやMCVが大きくなる。
もちろん下戸の人は、これらのお酒の話とは一切無縁です。

食道がんを早期に見つけたいと思うプロは、内視鏡検査の前に
このMCVをしっかり見てから検査をしています。
「この人は100以上だからよーし、食道もよく見よう」と。

なに、よく見ようって?
そうです。
食道は土管のような管ですから、一生懸命見ない事もある。

そもそも見るのは内視鏡を胃に入れる時と抜く時です。
私は食道は、入れる時も抜くときも両方見ます。
しかし胃に病変があったり、患者さんがゲーゲー言ったら。

抜くときは、諸事情でゆっくり見たくても見られないことも。
入れる時も、早く胃の中を見たいのでゆっくり見ないことも。
かくして入れる時も抜くときも、あまり見ないことがあり得る。

もちろん普通の人は、それでもあなり支障はあまりありません。
なぜなら、普通の人(?)には食道がんは起こりにくいから。
食道がんを見つけたければ、起こりそうな人だけ相手にすればいい。

それをハイリスクグループと言います。
食道がんはハイリスクグループが同定されているがんです。
B型肝炎やC型肝炎から発生する肝臓がんも同様です。

タバコを吸ってお酒がそこそこ飲める人がハイリスクグループ。
食道がんとは、私から見ると、そのようながんなのです。
怖いけど、予防もできるし、早期発見もできるがんなのです。