《1365》 食道がんは“惜しいがん”です [未分類]

たかじんさんは、手術や抗がん剤を受けたと報道されています。
事実は知りませんが、多くの食道がんはそうなります。
あと、放射線治療も組み合わせて受けられる人も多い。

それらの治療を行うのは、2つの場合が想定されます。

 (1) 根治を目標とした場合
 (2) 延命を目標とした場合

たかじんさんが、どっちであったのか知りませんが、
私の想像では、診断時にある程度分かっていたのではないか。
すなわち(2)ではなかったのではないかと勝手に想像します。

(1)で手術した場合も、念押しで抗がん剤をやることが多い。
もちろん(2)の場合も、抗がん剤治療をやる。
事情を知らない人から見れば、(1)(2)は区別できません。

私は30年間で、(1)の人を、自分の手で見つけたのは数例。
あとはほとんど、内視鏡検査ではじめて見つかったものでした。
バリウム検査で早期発見できた人は、正直、2例程度でしょう。

胃がんに比べて食道がんは、それくらい厳しいがんです。
早期食道がんはそれに特化しなければ、見つけにくい。
ハイリスクグループの食道しか診ない施設もある位です。

逆に言えば、2次予防がやりやすいがんなのです。
すなわち1次予防も2次予防も充分に可能ながんとも言える。
そう考えれば、食道がんは、“惜しいがん”とも言えます。

あと、“惜しいがん”といえば、乳がんです。
乳がんは自分自身で見つけられるがんなのです。
病院に行かなくても、自分で発見できるがんの代表が、乳がん。

セルフメデイケーションという言葉があります。
自己管理する医療で、今度益々大切になります。
生活習慣病だけでなくがんもセルフメデケーションンの対象です。

たかじんさんの死から、我々は多くの事を学ばないといけません。
抗がん剤をやる、やらないは二次的な命題で、一番大切なことは、
食道がんは充分に予防できる“惜しいがん”であることなのです。