《0138》 受動喫煙って何? [未分類]

「受動喫煙」という言葉の意味をご存じでしょうか?
高校生や大学生の方が認知度が高いのかもしれません。

煙は本人が吸う「主流煙」と周囲への「副流煙」に分類されます。
厄介なのは「副流煙」の方が「主流煙」より強い毒性を発揮することです。

吸っている本人よりも吸わない周囲の人の健康被害の方が大きいという現実。
これが「受動喫煙」の意味です。

受動喫煙の社会的認知度を感じるのは、喫茶店、居酒屋、寿司屋に入った時。
吸っている本人は、いたって平気です。
学生より大人の方が「受動喫煙」という言葉を知らないのでしょう。

長引く咳で町医者を受診される患者さんは、一応結核や百日咳を疑いますが、
多くの場合、「タバコ咳」ないし「咳喘息」です。

職場や家庭で「受動喫煙」に晒(さら)されて咳が止まらない非喫煙者を時々診ます。
アメリカでは受動喫煙の被害に遭うと裁判にできます。
尿中のニコチン濃度を調べることで受動喫煙被害があったかどうか、判明します。

そこで「分煙」という言葉が登場します。
テレビコマーシャルでも毎日、流れていますね。

実際、一部の空港や駅や電車や企業では、「喫煙室」が設けられています。
「わが社は分煙対策をしていますよ」と胸を張る社長さんも多くいます。

しかしいくら「分煙」しても、残念ながら「受動喫煙」は防げません。
本人が吐く息からも、衣服や体に着いた煙からも「受動喫煙」が起こります。

こうして考えると「分煙」という言葉がまさに画餅であることに気がつきます。
2005年、WHO(世界保健機関)は、FCTC(たばこ規制枠組み条約)という
国際条約を発効し、現在、日本を含む150カ国が批准しています。

その目玉は「受動喫煙の防止」です。
しかし「分煙」では「受動喫煙防止」は達成できません。

受動喫煙は、「分煙」や「マナー」という言葉にすり替えられています。
本来は、「分煙」という言葉を死語にしなければなりません。
しかし残念なことに、日本の常識はまさに世界の非常識となっています。