《1380》 受験したのに、結果を知らない? [未分類]

血液検査で分かるのは、過去のピロリ菌の感染の有無です。
一度でも感染すれば、一生、抗体を持つことになります。
たとえ除菌が成功しても、抗体は陽性を持続します。

しかし私が知りたいのは、過去ではなく現在です。
現在の感染の有無を知るには、血液検査では無理です。
胃カメラで組織を採ってCLOテストという培地で調べるのが一つ。

あるいは尿素呼気試験(UBTといいます)。このどちらかの方法です。
これはお薬を飲んで横になってもらってから息を吐く検査です。
当然、胃カメラを飲まないので患者さんへの負担はありません。

私のクリニックは、感染しているかどうかの判断は、胃カメラの時に
胃粘膜の一部を採り、CLOテストで行うことが多いです。
他所ですでに胃カメラを飲んできたひとはUBTのこともあります。

とになく、今、胃がんがないことを確信したうえで
ピロリ菌の有無について調べるのです。
もし胃がんがあれば、行うべきは除菌ではなく、胃がんの治療

除菌は、決められたお薬を朝晩、1週間飲むだけです。
下痢をする人もいますが、大きな副作用はふつうありません。
そして飲み終わって1カ月以上してから効果判定の検査をします。

効果判定には、主に2つの方法があります。
胃カメラで組織を採ってのCLOテストと、UBTです。
前者は再度胃カメラを飲むので、嫌な人はUBTで行います。

除菌はしたが効果判定はしていない、または結果は知らないと
いう人が時々おられますが、これは困ります。
大学受験をしたのに合否判定を知らないようなものです。

除菌の成功率は、6~7割程度と言われています。
除菌に失敗した人には、2次除菌が用意されています。
この合格率は、9割。

大学の追試にどこか似ています。
結局、最終的には95%くらいの人が合格します。
最終合格率は、胃潰瘍の人も慢性胃炎の人もほぼ同じです。

以上は、胃がんの予防のために行う医療行為。
胃がんは依然として日本人に多いがんで、発生にピロリ菌が
強く関与しているエビデンスに基づき、除菌が行われています。

胃がんで死なないためには除菌による予防を利用してください。
あるいは、胃カメラ(ないし胃透視)によって早期がんの段階
で発見できれば、9割は治せるがんです。

日本という国は、胃がんに対して何重にも、あるいは
何通りもの検査を健康保険で認めています。
では、ピロリ菌の血液検査はなんのためにやるのでしょうか?

(続く)