《1383》 早期胃がん治療後に除菌する意味 [未分類]

「早期胃がんを内視鏡で切除したのに除菌をするの?」
そう首をかしげながら、来院された人がいました。
あるいは「半分胃を取ったのに除菌するの?」という人も。

実は、一旦胃がんができたひとこそ、除菌なのです。
ピロリ菌がいる人が全員、胃がんになるわけではありません。
ピロリ菌がいない人よりずっと胃がんになり易いので除菌する。

ですから、胃がんを内視鏡であろうが外科手術であろうが、
切除した“過去”のある人こそ、除菌の対象者になります。
胃粘膜全体が、胃がんのでき易い状態になっているからです。

特に胃を半分切ったひとは、小腸からの胆汁の逆流に
晒されているため残った胃に、また別の胃がんが
できやすいのです。残胃がんと言います。

残胃がんの予防は、ピロリ菌の除菌でかなりできます。
除菌をするかしないかでは、大違いです。
普通の人より、過去に早期胃がんになった人こそ除菌なのです。

大腸がんもできるひとには何度もできます。
3回がんができて3回手術して、結局全部取った人がいました。
ならば最初から全部と思われるでしょうが、そうはいかない。

家族性大腸ポリポーシスという特殊な病気等の時だけは、
がんができる前に大腸を全摘しますが、あくまで例外的処置。
普通の人は、がんができるたびに大腸を切除していきます。

大腸の場合は、あるお薬を飲んで、がんの発生を予防できます。
化学予防と言い、保険は効きませんが、長期間予防薬を飲めば、
大腸がんの発生が、ある程度予防できることが分かっています。

胃がんの場合の化学予防に相当するものが
ピロリ菌の除菌であるといっていいでしょう。
慢性胃炎を治めることで胃がんの発生はかなり予防できます。