《1384》 治療する場合としない場合 [未分類]

これまで早期胃がんを放置した場合の医学論文と
胃がんを予防するためのピロリ菌の除菌療法について
長々と書いてきました。

早期胃がんがすべて進行がんに進展し死に至るわけでは
ありませんが、そのような傾向があることを述べました。
また、早期胃がんを予防する方法があることも書きました。

これらのことを知っていて、胃カメラ検査を受けない、
あるいはピロリ菌の除菌を受けないのは個人の自由。
実は私は、もう何年も胃カメラ検査を受けていません。

忙しいといいながら、どこか怖いのかもしれません。
イヤなことは後回しにしようとしているのかもしれない。
偉そうにこうして書きながら所詮、がんはひとごとかも。

しかし明日、もし胃がんが見つかっても納得しています。
私は知った上で、検査などの予防を受けていないのです。
しかし、みなさまはどうでしょうか?

半ば偶然に早期胃がんが見つかった人は全員嘆きます。
それは防ぐ方法があったのに、それを受けなかっただけです。
いわば自己責任で仕方がないのに、後悔される人が多い。

私は全員が胃がん検診を受けるべきである、とは思いません。
しかし胃がんで絶対に死にたくなければ受けるべきだと思う。
幸運なことに健康保険まで適用され至れり尽くせりなのです。

個人的には、70歳ぐらいまでの人は受けた方がいいと思う。
特に根拠はありませんが、そのように感じます。
中には80歳でも胃カメラを受けて助かったという人もいます。

しかし“ゲートボールと早期胃がん”に書かせて頂いたように、
高齢になればなるほど、早期発見がいい、とは言い切れません。
中には、見つけなかったほうがいいような小さながんもある。

また、80歳を過ぎた方の進行がんは、本人の希望を
最大限尊重して外科手術をせずに経過を見ている人が
何人かおられます。それは大きな病院でも同じことです。

治療するかしないかは、機械的に決められるわけではありません。
その人の余命や希望や認知症などを勘案して総合的に決まります。
ですから治療する場合もあれば、治療しない場合もある。

早期胃がんが見つかって、治療の恩恵を受けることができるのは
若くて元気な人です。その若いとは、だいたい70歳位までかな。
そのような人は、思い立った時に、胃カメラを飲んでください。

(続く)