《1394》 孤独死はそんなに悪いものなのか? [未分類]

全国的に雪景色で、たいへんなことになっています。
週末は講演や移動が多いのですが、さすがにこの雪の中
ドタキャンせざるを得ないイベントがあり泣いています。

この寒さの中、毎夜、深夜まで往診していて思うのは、
おひとりさまは大丈夫かな?ということ。
暖房を使っていないおひとりさまがたくさんおられます。

暖房どころか間違って冷房をかけている家もあります。
切る替えスイッチを逆に押したのに気がついていない。
まあ、冷房のほうが外気より温かいのかもしれません。

真夏に暖房をかけている人の逆バージョンです。
人間の生命力とは凄いもので、それでも元気で生きている。
毛布の中にもぐり寝転んで食事をしているおひとりさま。

それでも、おひとりさまが亡くなっている場合があります。
特に寒さの厳しい季節は、当然そうしたことが多くなります。
こうした最期を「突然死」と呼ぶのかどうかは知りません。

家の中の死に場所は、

  • 布団の中
  • お風呂
  • トイレ のどこか。

ピンピンコロリといえば、ピンピンコロリ。
平穏死といえば平穏死。
眠ったように死ぬといえば、そのとおり。

おひとりさまの年齢にもより、表現も異なります。

100歳なら、大往生。
 90歳なら、平穏死。
 80歳なら、孤独死。
 70歳なら、孤立死。
 60歳なら、突然死。
 50歳なら、ポックリ病。

高齢のおひとりさまの場合(仮に後期高齢者としましょう)、
孤独死はそんなに悪いものでしょうか?
そんな素朴な疑問が私のなかにあります。

90歳のおひとりさまの女性がトイレで亡くなっていました。
1時間ほど離れたところに住むメイが訪ねてきて気がついた。
警察が入り、私が呼ばれました。

1年前に私が処方した風邪薬が、机の上に置いてありました。
それを手がかりに警察は私に連絡をしてきました。
事件性は無いと判断したので、死体検案書を書いて欲しいと。

私は、警察と相談の上、慣れない死体検案書を書きました。
考えてみれば、この女性は医療にも介護にもお世話にならず、
しかも苦しみことなく最期まで自立しながら旅立たれました。

そう思うと愛おしくまります。
立派だと思います。
そうした尊敬と畏敬の念を込めて、診断書を書きます。

孤独死と聞くと顔をしかめる人、絶対いけないという人がいます。
私も被災地の仮設住宅での孤独死についてはそう書いてきました。
しかし、年齢や環境や生き方にもよると思います。

《PS》
ソチ五輪の開会式の映像を見ながらこれを書いています。
スポーツは、やはりひとを元気にします。
大雪と五輪と受験と都知事選で大変な1日ですね。

こうした報道の中、この短文をほとんど誰も見ていない
だろうなと思いながら、ひっそりとこれを書いています。
孤独死ならぬ、“孤独記事”かも。