独居の人の在宅医療を依頼された時に、
最初に考えることは、実は鍵のことです。
室内歩行はなんとか可能でも、鍵が開けられない人もいます。
鍵で困るケースはいくつかあります。
- 一戸建てで、寝室から玄関まで遠い場合
- 家族がいたりいなかったりする場合
- セキュリティーの高いマンションでは、入口と部屋のドアの2つの鍵の解除が必要な場合
以前、マンションの入り口で部屋番号を押したら、
それに反応して、在宅患者さんが転倒したことがありました。
あるいは、部屋のドアの前で転倒してしまったことも。
ドア越しにかすかに声は聞こえど中の様子が分からない。
帰るに帰れず、管理人さんを呼んで大騒ぎになりました。
独居の方の部屋番号を押す時は、いつもドキドキします。
いくつかの方法を提案します。
もちろん信頼関係ができている前提で、一番大切なこと。
遠くの家族の許可も得ておかないとトラブルになります。
-
鍵を何本かコピーさせていただく。
-
秘密の場所に鍵を隠して置かせてもらう。
-
小窓の内側に釘を打ってもらいそこに掛ける。
(1)は、普通の鍵であれば簡単にできます。
看護師さんやケアマネさんやヘルパーさんも含めて
最低でも4本は要ります。
しかし非常に精巧な鍵の場合、コピーにかなりお金がかかる。
何本もコピーすると何万円もかかりかなりの負担になります。
しかし精巧な鍵を安価な鍵に変えることもできません。
(2)は、たとえば小さなカンカンの中とか古典的な方法です。
簡便ですが、本人や家族が拒否する場合がよくあります。
お金を盗られるというより、万が一の不審者への不安があります。
完全寝たきりの場合、家族がそれを希望する場合があります。
しかも本人には内緒です。
しかし立派なマンションの場合、隠す場所が無い場合もあります。
この方法の利点は鍵を何本もコピーしなくてもいいことです。
隠す場所について、みんなで相談する場合もあります。
(3)これは、常に開いている台所の小窓の内側に置く方法です。
これも、やや問題があります。
取り損なって、部屋側に落としてしまったこともありました。
しかし鍵は、常に室内にある安心感はあります。
おひとりさまの在宅医療の場合、常にイザという時のことを
本人と家族とよくよく相談しておく必要があります。
もし孤独死してもその日のうちに誰かが見つけてあげたいのです。
そのためには、〝スペアの鍵がカギ〟です。