これまで末期がんのおひとりさまを
何人か在宅で看取ってきました。
え?
在宅でおひとりさまの末期がんの看取り?
そう思われる人も多いでしょう。
病院の地域連携室のスタッフの方もそう思っています。
しかし私の経験からは、おひとりさまの末期がんほど
在宅看取りに向いている状況はないと思います。
もちろん本人がそれを望んだ場合のみ成立する話ですが。
なぜ、在宅看取りに向いているのか?
それは単純です。
単純すぎて怒りだす家族がおられるのですが、怒られる
ことを覚悟の上で、思い切って書いてみます。
それは、家族がいないから、です。
「『平穏死』という親孝行」という本に詳しく書きました。
正直な話、子供さんが医療関係者だったり、介護関係者
だったり、学校の先生だった場合が、一番苦労します。
家族への説明に、私たちのエネルギーの大半が費やされるから。
その点、おひとりさまだと、全エネルギーを本人に注げます。
これを言っちゃーおしまいかもしれませんが、現場の本音です。
もちろん、いい介護者がいてくれてら、最高です。
誰もいないより、いい介護者がいてくれたらどんなに助かるか。
しかし世の中、そんな簡単にはいかないので悩ましいのです。