《0140》 一発で成功させたい禁煙治療 [未分類]

禁煙外来でニコチン切れの禁断症状を抑えるために使う禁煙補助薬には、
「飲む」タイプ、「貼る」タイプ、「噛む」タイプの3種類があります。
健康保険では、うち、二つのお薬が使えます。
ニコチンパッチという「貼り薬」と、バレニクリンという「飲み薬」です。

ニコチンパッチは、大、中、小があります。
大を4週間、中を2週間、小を2週間、合計8週間使用します。
上腕、お腹、背中などに毎日貼り替えます。

一方、バレニクリンによる治療法の特徴は少し助走期間があることです。
ニコチンパッチはいきなり完全禁煙ですが、バレニクリンは最初の1週間は、
タバコを少し吸っても構いません。

欧米では2006年に承認されました。
80カ国以上で発売され、既に約1000万人以上に使われています。
私も300名以上に処方しましたが重篤な副作用はありませんでした。

これは2週目からの完全禁煙ですので、少し気が楽ですね。
最初の3日間は4分の1量、次の4日間は2分の1量となるように
あらかじめセットされたお薬が処方されます。

バレニクリンの作用はニコチン補充療法とは少し異なり、脳の神経細胞のニコチンが
結合する部分にくっ付き、神経の先から少しだけ快楽物質・ドーパミンを放出させます。

その結果、タバコを吸いたくてたまらない切望感、不安、イライラが抑えられます。
仮にタバコを吸っても「美味しい」と感じず、「スカスカ」する感じになります。
患者さんには「タバコがほしくなくなる薬」と説明しています。

最初の1カ月は2週間ごとの受診が必要ですが、その後は、4週間ごとの受診を
2回経て、合計12週間で治療は終了します。

稀に禁煙後に「うつ傾向」になる方がいます。
もし、うつ病などの精神疾患の既往歴がある方は、治療前に精神科や心療内科の
主治医と必ず相談してください。

ニコチンパッチの主な副作用は「かぶれ」です。
皮膚が弱い方には使えません。

バレニクリンの副作用は、吐き気や夢を多く見ることなどです。
禁煙成功率は、おおよそ4割~6割で、バレニクリンの方がやや高い印象です。

いったん、禁煙に成功しても油断禁物です。
一本吸っただけで依存回路はすぐに息を吹き返してしまいます。
もし失敗しても1年を経過したら再び健康保険での治療が可能となります。

しかし、やるからには一発で成功させたいものです。
もし、くじけそうになったら遠慮なく主治医にアドバイスを求めることです。
禁煙ドクターと二人三脚で進んでください。