《1403》 鉄道事故や火事を受け止める仕組み [未分類]

おひとりさまの居場所には、二通りあります。
持家と賃貸住宅。
尼崎には、賃貸住宅のおひとりさまが多いです。

しかし賃貸住宅の業界では、おひとりさまに部屋を貸すと
火事が心配だし死んだあとの処理に困るともいわれます。
ケアマネさんが、必死に不動産屋さんを回って探します。

生活保護受給者のほうがむしろ借り易いかもしれません。
ゴミ屋敷で楽しそうに暮らしている生活保護の
おひとりさまを見たとき、どこか羨ましく思う時があります。

結構ゆったりした部屋で、好きなように暮らしています。
「天然もん」ないし「地鳥」という言葉がよく似あいます。
余計な医療・介護が無い分、ストレスも少なそう。

しかし、こうした個人の尊厳と近隣や地域の尊厳(安全)が
果たして両立するのか、という命題があるかと思います。
難しいし面倒だから施設に入れたほうが楽という家族が多い。

実際、おひとりさまで火事で亡くなった人がいました。
私が訪問診療した3時間後に、灰になっていました。
周囲の家への延焼は免れましたが、ショックでした。

認知症の方の鉄道事故と同様、火事も社会で受け止める
仕組みが必要な時代が来たように感じます。
すなわち、“保険”という発想しか無いと思っています。

実は、それは持ち家も賃貸住宅もそうは変わりません。
火事や平穏死や時には孤立死さえも容認できる社会に
変わらないと、地域包括ケアなんて絵餅かもしれません。