《1406》 持ち主の居なくなったゼロ戦 [未分類]

独居の80歳代の男性の在宅医療を依頼されました。
さっそく往診するとボロボロのアパートに痩せ細った
男性が布団のうえで寝ておられました。

病気というより老衰のようでした。
ほんとうに天涯孤独のおひとりさまのようでした。
生涯未婚で、兄弟や親せきもみんな亡くなったと。

脱水、栄養失調のため入院を提案してはみましたが、
即答で断られました。
このまま自然でいいと、キッパリ意思表示されました。

部屋には、ゼロ戦のプラモデルが沢山飾られていましいた。
ゼロ戦関係の古いマニア本が整理されて飾られていました。
よほどのゼロ戦マニアとお見受けしました。

約2カ月後、ついにその日が来ました。
朝一番、ヘルパーさんが私の携帯電話を鳴らしました。
駆けつけると、文字どうりの“平穏死”でした。

死亡宣告をする相手がいない看取りです。
しかしケアマネと訪問看護師とヘルパーはそこにいました。
みんなで泣きました。

みんな自然に涙がこぼれました。
家族に気を使わないだけ素直な気持ちで接していました。
悲しいというより美しいという言葉の方が似会いました。

天涯孤独の人が老衰で平穏死されるのは、仕方が無いこと。
しかし残された遺品をどう整理するのかという問題がある。
持ち主が居なくなったゼロ戦を見て、また泣いてしまいました。

PS)

ソチ五輪で寝不足の方が多いですがほどほどにして下さい。
また雪で孤立している地域の方にはお見舞い申し上げます。
まだまだ寒い気候が続くようですが元気でお過ごし下さい。