《1414》 独居の看取り それは淡々と [未分類]

第16回日本在宅医学会の様子を報告します。
初日の午前は、故・金子哲雄さんの奥さまの
稚子さんが講演され、私は座長を務めました。

演題は「死ぬことと、生きることは同じ」でした。
夫・金子哲雄さんのがん闘病の様子と
死に併走した奥さまの気持ちを、語られました。

「死ぬことだけは努力ではなんとも回避できない」。
「死にたくない」という気持ちと「死んでもいい」
という気持ちの間を哲雄さんは揺れ動いていた・・・

どのような在宅療養だったのか、最期はどんなご様子
だったのか、具体的にそして生々しく語られました。
私も多くの聴衆は大きな感動を覚えました。

午後は「独居の看取り」の講演とパネルデスカッション。
私は当院のデータを発表しました。
独居とは、親族がいてもほとんど家に来ない方です。

あるいは、本当に天涯孤独な方。
当院では過去3年間に看取った方のうち
1割弱が独居の看取りでした。

家族疎遠例が4分の3、天涯孤独例が4分の1、
がんが4分の3、がん以外が4分の1でした。
医学会ですので、そのような数字も発表しました。

在宅に従事していて特に独居かどうかは意識しない。
ごく普通に在宅をしてごく普通に看取っています。
家族がいないだけ、本人に使える時間が長くなる。

他の2人の演者も多くの独居の方を看取っていました。
独居の看取りを知らない病院の医師や地域連携室の
スタッフが聞いたら仰天するような内容だったと思う。

しかしそこには、病院関係者はいません。
今後はもっと病院と在宅が連携しないといけないので
本来はこうした議論も、合同でやるべきだと思いました。

朝から晩まで司会や講演や会議で埋もれていました。
一緒に来た8人のスタッフも頑張って勉強しています。
今日も朝からメインシンポジウムの座長を務めます。