《1417》 おひとりさまも揺れる [未分類]

100歳を目前にしたおひとりさまの
在宅医療を2年間ほど行ってきました。
ゆっくりゆっくり、衰弱してきました。

「この家で死にたい」、が口癖のおじいちゃん。
しかし何度か転倒して、すっかり弱気になった
おじいちゃんは、言うことが180度変わりました。

「もうどこでもええから入院させてほしい」と。
長男夫婦もお孫さんたちも、そう遠くない場所に
住んでおられますが引き取る気は全くありません。

独居の看取りだった方針が、ある日突然に入所へ。
しかし特養は10年待ちだし、ショートも難しい。
本当はいけないのですが、社会的入院を選択した。

おひとりさまが在宅看取りを希望するとは限りません。
希望していても最期に不安になり方向転換することも。
独居の看取りはしばしば患者の希望で簡単に覆ります。

本当は、自宅と施設を自由に往復できればいいのです。
実は「小規模多機能」という施設がそうなのですが
一般の人にはあまり知られていないし、数が少ない。

そのおじいちゃんは、退院後は
グループホームに入所して最期を迎える予定だそうです。
条件があれば、高齢者向けマンションかもしれません。

またどこかでお会いできるか、できないか。
それは神様が決めるご縁です。
深夜、おひとりさまとお別れの挨拶をしてきました。

先日、100歳を目前に旅立たれた方がおられました。
なんとかその日を迎えさせたかったのですが、叶わず。
しかし、大往生でした。

あちこち飛び回っていますが、今年になって10人の
人生の最終段階の患者さんを在宅でお看取りしました。
もちろん全員、とっても穏やかな最期でした。

しかし、おひとりさまも揺れ動きます。
家族がいたら、家族も揺れ動きます。
毎日、毎日、揺れに寄り添っています。

《PS》

先週、「平穏死できる人、できない人」という本が
出ました。

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!」も、
お陰さまですぐに重版されました。
感想文も全国から頂き、ありがとうございます。

そうそう「在宅医療のすべて」という医学書も編纂しました。

2月に3冊の本が出たわけです。
よろしければ読んでください。
これまでどおり印税は全額、福島県相馬市の子供たちに届きます。