《1419》 巨匠・黒岩卓夫先生の言葉 [未分類]

昨夜は、在宅医療の基礎を造られた黒岩卓夫先生
お話を拝聴し、感銘を受けたので紹介させて頂きます。
先生は新潟県の診療所で在宅医療に従事されている。

普通は往診かばんを持って患者さん宅に行くものだが、
先生はスーパーにある買い物かごに物品を入れて行く。
まったく飾り気の無い先生の言葉はお経のように響く。

在宅療養支援診療所連絡会の会長も務められていた。
筋金入りの哲学を持たれ、現在も実践されておられる。
私にとっては。町医者の中の町医者という感じだ。

これまで何度かお話を伺ってはきたが、
昨夜は、その集大成ともいえる講演をされた。
特に「死」についても多くの示唆に富む話をされた。

淡々と話される黒岩先生の言葉は、そのひとつひとつが
とても重く、うっかりすると聞き流してしまいそうになる。
忘れまい、と必死でメモを取ったのでそれをそのまま書く。

●80過ぎたら、「明日」は無い
 しかし必要なものは「希望」である。

●不条理な死
条理の死と不条理な死を分けて考えないといけない時がある。
それぞれでグリーフケアが違う
・条理の死=高齢者の大往生など
・不条理な死=子供の末期がん、震災での死など

●緩和ケアへの疑問
痛みを取ることばかりに向いて
本当に死に向き合う医学になっているのか?

●岡部健先生の遺言
病院は死を敵にまわして、悪者扱いし、タブー視した
お迎えが来た方が楽に逝ける
あの世があることを否定しない
看取りは医療ではなく、地域文化である
そのためには臨床宗教家が必要である

●平野博先生の言葉
ターミナルケアは、一方的に苦痛を取り除くものではない
苦しむことから何かを受け取ることができる双方向的なものでありたい
これは、がんでも認知症でも同じ考え方

●大下大圓先生の言葉
ケアする人もケアされる人も共に成長するという関係性が大切

●青木新門先生の言葉
末期患者さんには、激励は酷で、善意は悲しい
説法も言葉も要らない。
きれいな青空のような瞳をした人がそばにいてくれるだけでいい

●黒岩氏自身
ビハーラ的(日本的)ケアが重要
・死を直視し、死を前に痛みや不安に苦しんでいる人から
学ぶ姿勢が大切
・人はどんな状態にあっても存在を認めて欲しいもの
・日本的スピリチュアルケアにヒントがある

●良寛さんを看取った人たちの話
彼は74歳で直腸がんでがん死した
弟子の遍澄は、ケアマネの役を果たした
第11代木村元右衛門と妻は
住まいと介護の提供者だった=サ高住のオーナーだった
つまり、良寛は多職種連携のなかで看取られたという

●真の「連携」は、当事者を巻き込まないと始まらない

いかがでしょうか。
在宅医療の元祖は、今、このような事を考えて
在宅医療に打ちこまれているそうです。

こうした勉強会に出ると、知恵と勇気を頂きます。
昨日は、京都で超満員の講演を終えてから黒岩先生の
お話を伺いましたが、とってもバランスのいい休日でした。