私は関西電力とその関連会社の産業医をしています。
通算かれこれ20年近く関西電力と関わっています。
毎月1回の安全衛生会議や健康相談や健康診断判定。
業務に従事するのは短時間ですが、結構忙しいです。
外来診療と在宅医療の合間を縫って活動しています。
労働衛生コンサルタント、という資格も取りました。
関西電力は3.11以降、ガラっと雰囲気が変わった。
自ら先頭にたっての節電は、現在も続いています。
天井の蛍光灯は間引かれ、全体に薄暗い雰囲気です。
夏の冷房は28~29度ぐらいの高めに設定されて、
産業医の仕事をしていてもジワーッと汗ばみます。
窓を開けて仕事をされている部署もあります。
冬の暖房は18~19度くらいでかなり寒めです。
ドテラを着たり膝かけたりして仕事をしている人も。
女性の膀胱炎が心配です。
既に報道されているとおり、ボーナスは出ていないと。
当然、収入が激減し会社を辞めたひともいるそうです。
こうした状況が3年続くのは、かなりのストレスです。
何かと会社が責められ、家族も肩身が狭いと嘆く人も。
3.11を境に、会社のイメージが大きく変わったと。
産業医をしていると、社員たちのストレスを感じます。
実は、関西電力は事故を起こしていません。
無事故で、ちゃんと電気を供給しています。
私たちはその電気の恩恵に預かっています。
電気を護る、と言ってもピンと来ないでしょう。
あくまで産業医として見聞きする範囲の印象ですが、
想像以上に緻密でたいへんな仕事だと毎回思います。
産業医の業務とは労働者の健康を守ることです。
産業保健とはとってもとっても大きな領域です。
現場の人たちはストレスに耐えて必死で仕事しています。
それは福島第一原発周囲の作業員も同じでしょう。
東電の下請けの作業員の健康管理が気になります。
当院の患者さんも、福島原発に駆り出されました。
東電や原発はなにも遠い世界ではなく、身近なことです。
私は医者ですから東電も関電も下請けも関係ありません。
働く人々の健康を護ることが、産業医の任務。
震災から1カ月後に、原発作業員の健康管理の必要性を
強く案じてネットメディアに発信したことを思い出した。
津波と被曝の犠牲者は膨大な数です。
連日の報道を見る度に、涙が出ます。
悲嘆は、どれだけ続くのでしょうか?
一方、収束作業に頑張っている下請け会社の労働者や
実際に電気を供給している労働者にもエールを送りたい。
こんなことを書いたら、批難を浴びるのかもしれません。
しかし自分自身がこうしてパソコンを叩けるのも、
彼らのお陰で電気が途切れなく供給されているから
と感謝します。
空気のように当たり前に思える電気は、当たり前ではない。
2011年11月に神戸で開催した震災復興イベントで、
歌手の上田和寛さんが歌っているシーンが出てきました。
司会でゴチャゴチャ言っているのは、私です。
メジャーデビュー前の上田さんの歌声を被災地の方に
贈りたくて、リンクを貼りました。
そして今も現場で働いている人たちにも贈りたいです。
時間のある方は、聞いてください。