《1427》 医師法20条さまさま [未分類]

医師法20条は、診断書に関する法律です。
診断書は、医師しか書くことができません。
一般の診断書も死亡診断書も。

自らが診察しないで診断書を書いてはいけない
と書いてあります。
逆に言えば診察すれば書いていいということです。

死亡診断書とは亡くなったことを証明する書類。
それを書くには、亡くなった人を診れば書ける。
そこに行って診さえすれば書いていいわけです。

亡くなる瞬間に立ちあわなければならない、とは
書いてありません。
亡くなった後の人を診てから書けばいいのです。

亡くなってからどれだけ時間が経ってもいいのでしょう。
「診る」とあるので焼いてしまったら診れないでしょう。
可能ならば、時間があまり経っていないほうがいいはず。

医師法20条がややこしいのは、但し書きがあることです。
「但し、診察後24時間以内に亡くなった場合、その限り
でなはない」と分かりにくい但し書きがあることです。

これは最後に診察して24時間以内に亡くなった場合は、
その限りでは無い=診ないでも診断書を書いていいのです。
え?人が亡くなったのに診ないで死亡診断書を書いていい?

そうなんです。
医師法20条には、そう書いてあるのです。
でもなんのためにそんなことが書かれているのでしょうか。

それを知るには、医師法20条が制定された昭和24年
(平成ではありません)当時の様子を知らないといけない。
当時は、お医者さんが少なかった時代です。

病院はまだ多くはありません。
無医村が沢山あり、離島や山間部など医師が往診に
行けない地域が沢山ある時代でした。

従って、病状が悪い方の往診に行き、間もなく(24時間以内)
息を引き取った場合は、行かずに書いていいとなったのでしょう。
あくまでこれは私の想像ですが。

医師法20条はもちろん今も活きています。
看取りの場所は多様化していますが、国内の看取りは
医師法20条に基ずいて行われています。

私のような在宅医が家で看取れるのはこの法律のおかげ。
トイレで息絶えたおひとりさまの在宅患者さんの死亡診断書を
私が書けるのも医師法20条のおかげです。

はからずも、「独居の看取り」のための法律に思えてならない。
まさか、60年後にそんな時代が来るとは、誰も思わなかった
でしょうが実際この法律のおかげでおひとりさまを看取れます。
(続く)

PS)
今日は、東京と埼玉で講演です、
明日は、待ちに待った「かいご学会」です。
思い切り楽しんできます。