《1430》 「きみは延命介護をしていないか?」 [未分類]

かいご学会の冒頭、中村仁一先生と放談しました。
そのなかで、中村先生は、
「きみは延命介護をしていないか?」
と問いかけられました。

延命介護?
延命治療はよく聞くけども、延命介護って?
はじめて聞いた。

たとえば、食事介助です。
人が食べさせることは日本では美徳ですが、
欧米では、〝余計な事〟です。

まだ口に食べ物が残っているのにスプーンで
食べ物を無理やり押し込んでいって完食を目指す。
確かに、無理やり食べさせているような印象があります。

そういえば、胃ろうをつけないと追い出す特養や、
1日中、バイタルサインを測りまくる介護施設が
多いので、延命介護という言葉は妙に納得しました。

人生の最終段階を自然に任せて見守ってくれる施設は
意外に少ないのかもしれません。
というか実は少ないのです。

先週、介護施設での看取りの実態調査の生データを見ました。
まだ公開されていないのですが、最期は病院送りで
1例も看取っていない施設が沢山あるのが現実です。

私が在宅で診ている99歳のばあちゃんは、
手づかみで食べるようになって生き返りました。
食事介助の時に、死にかけましたが。

手づかみなので食べたいだけ、食べたいように食べられる。
手を使うようになってから指がよく動くようになりました。
そして認知症も少し良くなりました。

おそらく食べることが脳を刺激しているのでしょう。
いろんな施設で「手づかみ」が可能かどうか聞いて
みましたが、衛生の観点から否定されました。

いずれにせよ、医療現場のみならず介護現場まで
延命介護になっているという指摘には驚きました。
実は、延命介護は在宅現場でもよく行われています。