《0144》 多剤耐性菌に慌てないで [未分類]

帝京大学病院の院内感染が大きく報道されています。
外来や在宅、そして産業医として出務する一般企業などで
この細菌対策に関する質問責めにあっています。

アシネトバクター菌とは、どこにでもいる細菌です。
それが、病院という特殊な環境の下で多くの抗生物質に耐性を
持つ細菌に変異しました。
病気で弱った患者さんに、おそらく院内感染して、命まで奪ったのでしょう。

有名な、あのMRSAの院内感染と似ています。
MRSAの方が、手洗いで予防できる可能性が高いのですが、
アシネトバクター菌は、乾燥に強く、死滅しにくいと言われています。
今回の検証と、今後の院内感染対策の改善・強化が待たれます。

さて、我々のような普通に生活している者にとっては、この細菌の
恐怖とは無縁と考えていいでしょう。
企業として特別な対策を施す必要はないと思います。

皆さん、つい最近の新型インフルエンザを、思い出すのでしょう。
また、在宅患者さんは、マスコミ報道で過度に不安になっています。
「心配ないですよ!」と、今回は、胸を張って説明して回っています。

帝京大学病院では新規の入院を制限しましたが、集団感染が疑われたら、
院内の人間の出入りや移動を、制限するのは当然でしょう。

今回の院内感染において、もしかしたら、お見舞いの方が、細菌の運び屋に
なったかもしれないのです。
そもそも病院とは、そのような場所であるという認識が必要です。

さて、帝京大学に、警察の捜査が入ったと報道されています。
院内感染は、どこにでもある現代医療の「宿命」のようなもの。

取り調べを受けている関係者は、我々医療者の仲間です。
「業務上過失致死罪の疑い」の捜査を受けながらも、日夜、現場で
地道に頑張っている同志たちに、エールを送ります。