昨日は、石巻開成仮設住宅のなかにある
「あがらいん」という名前の地域食堂で
スタッフ4人と昼食をとりました。
「あがらいん」は、CLCという生活支援のNPO法人が
経営する食堂であり、「つどい場」でもあります。
仮設住宅の住人でなくても誰でも出入りできます。
昼の定食はデザートとコーヒーがついて500円。
ボランティアによって運営されているので、この値段。
盛り付けや洗いものをしている女性の仮設住宅に行きました。
独居なので部屋はたった4畳半と小さなキッチンのみ。
息が詰まりそうなので、毎日「あがらいん」でボランティアを
していると聞き、妙に納得しました。
高台にある大きな仮設住宅には多くの独居の方が暮らします。
うつやひきこもりや、アルコール依存症の増加は、
阪神大震災の時に経験した時とまったく同じです。
震災直後、関東地方に住む子供の家に避難したそうです。
しかし生まれ育った石巻がいいと思い直し、仮設に入居。
ひとり暮らしを楽しんでいますが、ストレスも大きいと。
確かに狭い部屋でじっとしているとおかしくなりそうな感じ。
巨大な仮設住宅の中には小さな子供たちが何人かいます。
子供の声を聞くのが、一番心が休まるそうです。
彼女に夢を聞いてみました。
早く復興住宅に移ることでした。
競争率は、とても高いようです。
復興住宅といえば、尼崎市には19年前の阪神大震災の後に
できた復興住宅が何カ所かあります。
現在、そこは独居老人が多く、在宅医療で訪問しています。
隣近所の付き合いは、あまりありません。
あまり人見知りしない関西人でもそうなのです。
東北人は大人しい方が多いので、引きこもりか心配です。
PTSD、うつ、アルコール依存などは、阪神と同じです。
傾聴、見守り、おせっかいしかかないと思いました。
なんとかして外に連れ出さないと悪循環に入ります。
みなさん極めて厳しい経済状況です。
見舞金だけでは、とても足りません。
二重ローンに喘ぐ人もおられました。
一生仮設住宅を出られないと断言した方がおられました。
「生きてここを出られるだろうか」、と呟く人もいました。
まだ働ける人は、就労の機会があればいいとも思いました。
個人補償はしないのが我が国の原則だそうですが、それでは
本来、自立できる人なのに自立できない場合が多くあります。
この際思い切った個人支援が必要だとあらためて感しました。
つまり震災4カ月目に出版された拙書「共震ドクター
――阪神、そして東北――」の中でした提案は、
今でも変わりません。
生活保護者を増やさない政策が求められます。
私がこの本の中で一番訴えたかったことは、
・低所得者への個人補償に弁護士を活用すること
・集団での高台移転は必要ないとのこと
です。
公園や道路などの公共インフラ整備も大切です。
しかし住まいの問題の方が優先すると思います。
想像していた以上のストレスの中で暮らしていました。
「あがらいん」は、その中でもオアシスのようなところ。
食事をするだけでなく週末はカラオケ大会もあると聞き安心。
とにかく楽しんでほしいと思いました。