《1444》 たった20分で笑顔に変わった [未分類]

昨日は、年度変わりと増税前の駆け込み買い物で
異常な混雑は深夜まで続いていました。

日付けが変わる寸前まで往診していましたが
ガソリンスタンドの前は長蛇の列で渋滞でした。

外来も在宅も往診も何もかもが、異常な忙しさ。
診療報酬改定もあり日本中の医療機関は寝ていないはず。
私も深夜2時にラーメンを食べ、あまり寝ていません。

さて、そんな中、一昨日のがん患者さんを再度訪問。
「もう、あかん。ありがとうございました」と
一昨日同様、顔をしかめて喋っていました。

さて、これから麻薬を使った処置を始めます。
貼り薬タイプと頓服タイプの麻薬の説明と実演。
麻薬の量の考え方と頓服のタイミングも説明。
そもそも痛みとは何か?も説明。

下剤と吐き気止めの使い方も説明。
そんなこんなで1時間くらい講義しました。
家族は全員が、かなり緩和医療に詳しくなったと思います。

以上は、訪問薬剤師さんに依頼してもいいかと思います。
しかしそうした説明ができる訪問薬剤師が、そこに居ないのと、
そもそも主治医である私がしたほうがいいわけで。

本人も家族も納得され緩和ケアをスタートしました。
自宅だと現物を手に持って、分り易く説明できます。
さっそく、貼り薬タイプの麻薬を貼ってみました。

貼り薬タイプは、1日経たないと効いてこないと説明。
頓服タイプの液体麻薬を、口の中に垂らしてみました。
こっちは20分で効くが、2~3時間で効果が切れると。

口の中を覗くと、カラカラでした。
飲めず食えずで、既に2~3日過ごされています。
しかしその2mlの麻薬は、ゴクっと飲めました。

20分ぐらい大勢のご家族といろんな話をしていました。
そして患者さんのために、冷たい水を持ってきてもらいました。
すると、水をゴクゴク飲めたので家族は驚きました。

嫌いなスポーツドリンンクに変えても飲めました。
「痛みは全部無くなった!」と本人が言われました。
「そんなわけないやろうが」と私は返しました。

家に入った時は、大きな声で唸りしかめっ面でしたが、
帰る時は笑顔で「頑張ります!」に変わっていました。
麻薬というものの恩恵を、私自身も改めて感じました。

もちろん私自身の麻薬効果も、あるのかもしれません。
医師や看護師が要るだけで安心して痛みが軽減すること
を時々経験します。

しかしとりあえず頓服の麻薬も少し効いて、
笑顔が出て水をゴクゴク飲めたのでしよう。
一番驚いたのは、家族です。

キツネにつままれたような顔をしていました。
とりあえず痛みが取れることはいいことです。
だから緩和ケアは、やめられないのです。