肺がんの在宅患者さんを現在、3名ほど診ています。
がんの在宅患者さんのなかで一番多いのが、肺がん。
がんの中でトップといえばトップなので、当たり前です。
1人の患者さんは肺がんが全身の骨に転移しています。
首のリンパ節にも転移して、そのせいで「腕が痺れる」と
訴えるのです。
「痛いのですか?」と聞くと、
「痛いのではなく、痺れている」とのこと。
ただし、痛みも少しはあるようです。
テレビのCMでよくやっている神経障害性疼痛(とうつう)です。
在宅医療開始と同時にオキシコンチンを飲み始めました。
初期量の2倍まで増量しましたが、痺れは止まりません。
そこでリリカという薬を寝前に25mgだけ飲んでもらった。
すると良く効いて、痺れがかなり楽になったとのことです。
夜も良く眠れるようになったと。
リリカというお薬は、25mg錠と75mg錠があります。
通常25mgから開始して、300mgまで増量できます。
がん以外の痛みや痺れにも使えます。
なぜ25mgから開始するかといえば、眠気が出るからです。
慣れてくれば1日2錠、飲んでもらいます。
1日に50mg、100mg、200mg、300mgと様々な量まで増やせます。
繊維筋痛症の人には、極量の300mgまで使いました。
この病気も、様々な種類の痛み止めを要する変わった病気です。
当院で診断して当院で治療を受けている人が、大半です。
神経が障害された痛みであると判断した時に
オピオイド鎮痛薬にリリカを上乗せして使うことが多いのです。
リリカがよく効く人と、あまり効かない人がいます。
効かない場合は、増量するかどうか迷うことがよくあります。
増量しない場合は、されにパキシルやサインバルタといった
抗うつ剤を併用する場合もあります。
神経障害性疼痛だなと思った時は、やみくもに
オピオイド鎮痛薬を増量するのではなく、
リリカや抗うつ剤などの鎮痛補助薬を
併用することが大切だと言われています。
痛み止めを3種類も飲ませるのは、正直気が進みません。
便秘薬と吐き気止めを合わせると、5種類になります。
自分が一番気にしていている、多剤投薬になってしまいます。
しかしそうする時には、そうします。
要は痛みの種類の見極めが大切です。
上手くいくと、オピオイド鎮痛薬の減量が可能なこともある。
本当は、もっといろいろな研修を受けてから使うべきです。
私の場合は、動物的なカン(?)でやっています。
その患者さんはとても喜んでいるので良かったと思いました。