《1461》 医者も患者も待てない時代 [未分類]

緩和ケアというと、ホスピスや医療用麻薬を
連想する人が多いかと思います。
それはそれで間違っていないと思います。

日本では、医療用麻薬の使用には消極的だと思います。
医者ですら麻薬に対する誤解や偏見が多いと思います。
がんの緩和ケアは、麻薬抜きでは考えられません。

しかし私は、緩和ケアをもっと広い概念だと思っています。
ひとつは、がん以外の痛みへの対応です。
もうひとつは、お薬以外の方法での痛みへの対応策です。

アロマテラピーが緩和に有効であることが知られています。
タッチケアも同様であろうかと思います。
そしてそれ以外に、大切な対応策があると考えています。

それは、「待つ」ということです。

ある時点からは何もせずに待っていたほうが得な場合がある。
しかし医療技術の発達した現代においては、待つことは困難。
いや困難どころか極めて困難、あるいはほほんど不可能です。

昨日書いたように多量の腹水を診れば、
ほとんどの医者は反射的に抜きたくなります。
抜いた後は、「脱水になるから」と点滴をしたくなります。

しかし待っていれば、自然に水は引き、自然に
口から水が沁み入るように入っていきます。
しかもその方が苦痛が少なく、長生き、できるのです。

たったそれだけです。

「待つ」ことも緩和ケアのひとつです。
しかし、ほとんどの人は「待つ」ことができません。