《1463》 「待つ」と「やる」は、真逆 [未分類]

以前にも紹介しましたが、大阪大学前総長の鷲田清一氏が
「待つ」ということ、という本を記されています。
私はまさにこの著書のとおりの時代であると感じています。

子供たちは携帯電話を持ち「LINE」に興じています。
メールが届いたらすぐに返信しないといじめの世界です。
実は、これと同じことが病院や施設で起こっています。

腹水を抜く、抜かない。
点滴をする、しない。
迷った時は、やらないよりやったほうが圧倒的に楽です。

楽というのは、医者が楽なのです。
それで患者さんも楽になればいいのですが、反対に
苦痛を増大して、寿命を縮めている場合をよく見ます。

しかしそれは沢山の経験がある私自身が見た印象であり、
実際にフィルムを巻き戻してやり直すことは不可能です。
多くの人はそれを「やった」場合の結果しか知りません。

私は、やった場合とやらない場合の両方の
結果をたくさん知っています。
結論から言えば、両者は真逆です。

一方や穏やかで、一方は苦しむ。

後者の苦しみに対して、麻酔で眠らせることが緩和ケア
であると主張する専門家が多くいます。
しかしその苦しみの原因を作ったのは、「やった」人です。

「待つ」と「やる」は、真逆です。
だから難しいのです。
単純すぎて、難しいのです。