ケアマネージャーという職種を御存知でしょうか?
なにをいまさら!と思われる方も多いでしょう。
しかし、まだケアマネを知らない方も多くおられます。
ある大学病院で「平穏死」について、2時間以上も熱演。
質疑応答で偉い座長先生が発した質問が忘れられません。
「ケアマネージャーとヘルパーって、どう違うんですか?」
ズッコケそうになりましたが、笑いをこらえて真面目に
ケアマネという職種について解説したことがありました。
平穏死とケアマネは関係ないのに、なんて思いながら。
それくらいケアマネは、病院医療とは遠い存在なのです。
でも、あとで考えるとケアマネと平穏死は関係が深いです。
ケアマネは、介護の指揮者ですから当然ですね。
医療系ケアマネと介護系ケアマネという言葉があります。
前者は、前職が、看護師や理学療法士だったケアマネで
後者は、前職がヘルパーなど介護職だったケアマネです。
昔は、両者が混在していましたが、最近は後者が大半に。
ヘルパーの「上がり職」としてのケアマネさんが増えた。
ぺルパー事業所に所属するケアマネが街をウロウロしています。
さて、在宅で平穏死を迎えたとの連絡を受けて駆けつけたところ
その家には誰一人いなかった、という事がありました。
何が起こったのか想像がつきますか?
連絡を受けたケアマネさんが救急車を呼んだのです。
既に呼吸停止して平穏死を迎えた人を乗せた救急車は
病院に到着して救急医が死亡診断し診断書を書いた。
これを「看取り搬送」と呼んでいます。
こうした無駄なことがないよう、全国で講演していますが、
現実にはケアマネの指図で看取り搬送に遭遇することも。
後で、その指示をしたケアマネさんに聞いてみました。
すると、看取りを一例も経験したことが無いとのこと。
なるほど、と納得。
主任ケアマネ研修会で講議後、受講者全員に質問しました。
「今まで看とりを1例も経験したことないケアマネさんは
手を挙げてください」と。
すると沢山の人が手を挙げられ、驚いたことがありました。
主任ケアマネになろうという人は、いわばベテランケアマネ。
それがこんな実情ですから看取り搬送が繰り返されるのです。
在宅主治医から見れば、医療系ケアマネとか
介護系ケアマネなど、どうでもいいのです。
大切なことは、看取りを知っているかどうか、その一点のみ。
もっと言えば「平穏死を知っているか、知らないのか」だけ。
ちなみに私の平穏死の本を読んだという人は、ほぼゼロです。
平穏死を知らないのは、医療者だけでなく、ケアマネさんも。
さらに言えば、人生の最終段階において「待つ」ことの意味を
知っているケアマネさんかどうかが、大切なのです。
一度、お世話になっているケアマネさんに聞いてみてください。
「平穏死って言葉を、知っていますか?」と。