「待つ」という緩和ケアについて長々と書いてきました。
「待てない時代」にどう「待つ」のか、について。
簡単そうで実は現代では一番難しい命題であると感じます。
旅立ちの半日~1日前には多くの人が、身もだえます。
私はそれを「死の壁」と勝手に呼んでいます。
ここを待てるかどうかが、在宅看とりの山場であると。
しかし身もだえるのを、指をくわえてただ「待つ」ことは
家族にとってはとっても辛いことです。
そこで私たちは、「待つ」ための秘密の道具を渡しておきます。
ひとつは、レスキューの麻薬。
急な痛みが襲って来た時、そして口から飲めない場合のために、
坐薬タイプのレスキュー用の麻薬を予め用意しています。
次は、安定剤の坐薬。
口から飲めないときは、やはり坐薬が有効です。
不安を和らげる効果もあり、とっても助かります。
あとは、安定剤と睡眠薬でしょうか。
睡眠薬は安定剤の強いものと考えればいいので、
昼間から飲んで頂くこともあります。
こうした置き薬が用意できるのが在宅ホスピスの強味です。
以上の便利な道具は実際に使うのは1~2回のことが多い。
すなわち、多くはお守りのような存在でもあります。
在宅ホスピス医はそれぞれ得意な「秘密兵器」を持っています。
どうしても「待てない」時を早めに察知して上手に武器を使う。
ここが現代医療の恩恵であると感じます。
置き薬は、最少量で充分です。
こうした連休中は、たった1個の薬の調達に苦労することがある。
ですから早めに秘密兵器を調達して置いておくようにしています。
(「待つ」という緩和ケアシリーズ 続く)