「お泊りデイ」というものを御存知でしょうか?
デイサービスのまま、夜もそこに「泊まる」ことです。
デイサービスは介護保険下ですが、お泊りは制度外の自費。
実費のお泊り料金は実にさまざまです。
1泊500円のワンコインから数千円という事業所もある。
それを管轄する役所が無いから、と聞いています。
「30泊31日のお泊りデイ」というものがあります。
要は、そこに住んでいるのですが。
デイサービスと自由お泊りが連続しているという解釈です。
事業主が小さな一軒家を借りて、6畳一間に3~4人が
雑魚寝させられている様子が、メディアでも報道されました。
その時は貧困ビジネスや隙間産業として報道されていました。
私も時々、「お泊りデイ」に往診を依頼されます。
このGW中も「お泊りデイ」をウロウロしています。
ちなみにそこの夜は、施設でもデイでも家でもないのです。
あと1日で看取りか?というくらい状態の悪い人が入所(?)。
夜、眠らせてもらえない家族が根を上げるとそうなることも。
しかし「お泊りデイ」には在宅医は自由に出入りできます。
これを「外付け可能」といいます。
ちなみに特養や老健では、医者の外付けはできません。
「お泊りデイ」では主治医は外づけなので大変助かります。
さて先日、ある「お泊りデイ」に深夜に訪問しました。
その部屋は、利用者と当直ヘルパーの2人部屋でした。
綺麗な個室でマンツーマンで介護し添い寝までされていた。
しかもそのヘルパーをよく見るとある特養の職員でした。
そっと「当直のアルバイトをしている」と話されました。
私は彼女の顔を見た瞬間、なぜかとっても安心しました。
彼女は「お泊まりデイ」で看とりびとになろうとしていた。
彼女も私の顔を見て「長尾先生なら安心して看とれる」と。
お互いの信頼関係さえあれば自然に「待つ」ことができます。
もちろんご家族も納得、満足されての旅立ちでした。
また、特養でも老健でも難しいとされる施設でも看とりが、
「お泊まりデイ」では可能なんて、なんとも不思議です。
「看とりびと」が添い寝している「お泊りデイ」タイム。
「お泊りデイ」もいろいろな刺激を受けて進化しているようです。
特養や老健等の既存の施設の合間を縫うように発展していきます。
(待つという緩和ケアシリーズ 続く)