「リビングウイル」の日本語訳はなんでしょうか?
この2年くらい、寝ても覚めてもこれを考えています。
なかなかいい日本語訳が思いつきません。
人生の最終段階、つまり不治かつ末期になった時に、
延命治療を断る一方、緩和医療をお願いする書面が
「リビングウイル」です。
いわゆる「遺言状」と違うのは、まずこの2点。
・遺言状は亡くなった後のこと
・お金や財産に関すること
一方、「リビングウイル」は、
・死ぬ前、生きているが意思表示できない場合のこと
・いのちに関わる医療処置のこと
私たちは、前者は「遺言状」と
後者を「いのちの遺言状」と、呼んでみました。
「お金の遺言状」と「いのちの遺言状」
「前者は法律で認められているのに、後者は
どうして法律で認められていないのか?
日本はいったいどうなっているんだ!」
町医者の私に持ち込まれる相談は、そんな相談ばかり。
5月10日(土)の生と死を考える市民フォーラムで
女優の木内みどりさんが涙ながらに語ったのも、この命題。
NHKドラマ「巻子の言霊」のモデルになった富山の
松尾巻子さんと夫の幸郎さんの魂の叫びを代読されました。
「どうして日本では患者の権利が認められないのか?」と。
私は、「この問題は生命倫理といって大変難しい
問題なのでみなさんで時間をかけて話合い会いましょう」
と締めました。
お隣の国の台湾に学ぶべきではないかとも話しました。
ひとつ言えることは、遺言状には魂が入っていることです。
一昨日、札幌で講演したあとに市民の方々と
お話した時にも、そう強く感じました。
しかし現場の医師は、「いのちの遺言状」に対して無力です。
時に家族が本人の意思と真反対の希望を言い出すからです。
家族や子供の間で意見が分かれることが、もはや日常です。
「いのちの遺言状」を書いていても「活かされなかった!」
と悔やまれるご家族が残念ながら必ず毎年何人か出てきます。
なぜ活かされなかったかをみんなで話合う機会を設けました。
第3回日本リビングウイル研究会です。
6月8日(日)午後、東京六本木です。
ご興味のある方は、一緒に語りませんか。