《1488》 「リビングウイル」と「事前指示書」の違い [未分類]

リビングウイルとは「いのちの遺言状」であると書きました。
では、「事前指示書」って何でしょうか?
肝腎なことを説明せずに、話を進めてきてスミマセン。

「いのちの遺言状」は正式には「尊厳死の宣言書」と呼ばれています。
この原本は日本尊厳死協会で厳重に保管しています。
もちろん控えは本人も保管しています。

本人の意思です。
それ自体は本人の意思です。
ご家族は入りこみません。

しかし本人が、それ自体を忘れてしまうことがあり得ます。
たとえば突然交通事故などで遷延性意識障害になったり、
いつのまにやら認知症になっていたりすることがあり得ます。

その時のために、事前に代理人を定めておく必要があります。
成年後見人は財産などの管理だけで医療の代理はできません。
まして「いのちの遺言状」の代理もできません。

「いのちの遺言状」の代理人を予め指定しておく必要があります。
通常は、家族の中の誰かがなるのでしょう。
もし天涯孤独ならば、知人を代理人にお願いすることがあるかも。

来るべき「大認知症時代」を前に「いのちの遺言状」だけでは
さまざまな医療の選択肢に対応できないことが増えてくるでしょう。
「いのちの遺言状」とその代理人をセットとして備えるのが現実的。

そのセットのことを「事前指示書」と呼びます。
先進的な病院や施設ではすでに事前指示書を取り入れています。
しかし日本では、「事前指示書」も、法的な担保はありません。

台湾の「安寧緩和医療条例」では、家族や代理人も定めているので
「事前指示書法案」と呼んだほうがいいかと思います。
大認知症時代を想定すると、とても合理的です。

いずれにしても核となるのはリビングウイル。
「いのちの遺言状」という本人の意思が無いと
事前指示書にはなりません。