《1493》 医師への謝礼と越えられない川 [未分類]

三田市民病院の院長先生が患者さんから謝礼を
もらったことが大きく報道されています。
公立病院の職員への謝礼は禁じられています。

お金だけでなく、お菓子などのモノもだめです。
農家の方が自分の畑で採れた野菜を届けるのも
賄賂(?)とみなされます。

たとえ、その時は純粋な謝意であっても、
あとで「特別な便宜を図って」という要求が来るかも。
感謝の気持ちは、いつ賄賂になるかもしれません。

税金で運営されている病院では、それはまずいのです。
公平性を損ねることは、どう考えてもまずい。
ですから弁明の余地は無いのでしょう。

院長先生だから、大きく報道されたのでしょう。
内部告発だったのでしょうか。
下っ端の医師ならニュースにならなかったかも。

私もかつては公立病院の勤務医でした。
盆暮れに届いた金品は、事務職員が送り返して
あとで報告がありました。

看護師も絶対に金品を受け取りませんでした。
看護師詰所に届いたタコ焼きも返していました。
沢山買いこんできたご家族は困っていました。

それが公務員の規則なので、仕方がありません。
もし受け取ったら同様に処罰されるかもしれない。
李下に冠を正さないことしか方法はありません。

もし医師や看護師に謝意を届けるのであれば
手紙が一番いい、と以前も書いたことがあります。
現在も毎日、御礼のお手紙をいただきます。

メールでも頂きます。
感謝されることは嬉しいです。
それが明日への活力になるのも事実です。

感謝されて嬉しくない人間などいないでしょう。
ただ公立病院の場合は、金品は禁じられています。
それは知っておいてください。

多くの医師は、三田市民病院の報道を聞いて、
院長先生に同情しているのではとも思います。
もう充分に社会的制裁を受けたのではないか。

医者と患者の距離は近いほどいいと思います。
しかし絶対に越えられない川があるとも思う。
医療の受け手と与え手という関係性が常にある。

だから、おつきあいもある程度の距離感が必要です。
慣れ合いになってはいけない、と私は思っています。
公立病院の職員は、特に気をつけないといけません。

今回の報道を複雑な気持ちで眺めていました。