夜の診察で、気管支喘息の重積発作の患者さんが倒れるように
飛び込んで来られました。
「息ができません。先生、助けて……」
タバコの匂いがプンプンします。
気管支拡張剤の点滴を開始しながら、訊きました。
「どうして、こんな状態なのにタバコを吸ったの?」
「苦しいから、気分転換しようと思って吸いました」
「そんなことしたら、あなた死にますよ。年間何千人も死んでいるからね」
「タバコが、今、呼吸ができない原因ですか?」
「もちろん。そんなことも分からないの?」
「そんな気もしたけど……」
「とにかく、今すぐ、禁煙しなきゃ」
「それができないのよ!」
「なぜ、できないの?」
「私だって、やめれるもんなら、やめたいわ!」
とうとう、本音を叫ばせてしましました。
苦しい発作の最中なのにごめんなさい。
意地悪な医者かもしれませんが、「ニコチンの呪い」と対峙する日々です。
この後、タバコ病(肺がんやCOPD)の患者さんを往診。
まさに、朝から深夜まで、タバコ病との格闘です。
たばこ税に期待するような人は、悲惨な現場を一度見てから言ってほしいものです。