《0152》 やめられるもんならやめたいわ! [未分類]

夜の診察で、気管支喘息の重積発作の患者さんが倒れるように
飛び込んで来られました。

「息ができません。先生、助けて……」
タバコの匂いがプンプンします。
気管支拡張剤の点滴を開始しながら、訊きました。

「どうして、こんな状態なのにタバコを吸ったの?」
「苦しいから、気分転換しようと思って吸いました」

「そんなことしたら、あなた死にますよ。年間何千人も死んでいるからね」
「タバコが、今、呼吸ができない原因ですか?」

「もちろん。そんなことも分からないの?」
「そんな気もしたけど……」

「とにかく、今すぐ、禁煙しなきゃ」
「それができないのよ!」

「なぜ、できないの?」
「私だって、やめれるもんなら、やめたいわ!」

とうとう、本音を叫ばせてしましました。
苦しい発作の最中なのにごめんなさい。

意地悪な医者かもしれませんが、「ニコチンの呪い」と対峙する日々です。
この後、タバコ病(肺がんやCOPD)の患者さんを往診。

まさに、朝から深夜まで、タバコ病との格闘です。
たばこ税に期待するような人は、悲惨な現場を一度見てから言ってほしいものです。