《0155》 タバコと肺がんの深~い関係 [未分類]

タバコと肺がんが深い関係にあることは、もはや誰もが知っている事実です。
因果関係も、ある程度まで解明されています。

医学生時代、肺がんの権威であった教授が何度も話されました。
彼らは、犬の気管支にコールタールを塗る実験をしていました。
「すると肺がんが出来たんだ!」と何度も話されました。
肺がんの中でも「扁平上皮がん」というタイプだったと思います。

しかし、この話をすれば、必ず
「うちのじいちゃんは、ヘビースモーカーだったけど、90歳まで生きた」
という質問を受けます。

私は、以前から、タバコに強い人とそうでない人がいると感じていました。
お酒が強い、弱い、のとどこか似ています。

つまり、体質的にタバコに強い人がいるかどうか?
そして、タバコで肺がんになりやすい人がいるかどうか?
かなりの差があるのではと、これまで感じてきました。

実は、医学的に2倍くらいの差があることが分かってきました。
つまり、喫煙量が同じでも、生まれつきの遺伝子の型の違いによって、
肺がんのかかりやすさに、かなりの差が出るのです。

最近、この分野の研究が進んでいます。
15番染色体に、肺がんに影響する部分があることが分かっています。
この部分に、ニコチンと結び付いてドーパミンの分泌量を調整する受容体を
作る遺伝子があることが解明されています。

その遺伝子から、人によって異なることが多い遺伝子型を選択。
日本人の健常者と肺がん患者それぞれ716人の遺伝子型の違いを調べたそうです。

すると、「rs931794多型」と呼ばれる遺伝子型の構成が、
AA(アデニン・アデニン)型の人の場合は、生涯喫煙量が41箱以上だと、
喫煙したことがない人より5・77倍、肺がんになると判明。

これに対し、AG(アデニン・グアニン)型かGG(グアニン・グアニン)型の人は、
非喫煙者より13・5倍も肺がんにかかりやすく、AA型と比べて2倍以上も
差があることが判明しました。

この他にも、肺がん発生に関与する遺伝子があり、一連の遺伝情報を
詳しく解析すれば、個人個人に適した「オーダーメードがん予防」が
可能となる日も、遠い将来ではなさそうです。

しかし、現時点ではそれはまだ無理です。
ですから、禁煙するしか方法はありません。

さらに、受動喫煙の問題は、これとは全く別の問題です。
禁煙問題は、吸っている本人の問題と、受動喫煙に分けて考えた方が
合理的だと思う時がよくあります。
特に、吸う本人の感受性の問題は、奥が深いようです。